プログラミングと聞くと「何だか難しそうなことだから、高校生くらいになってから学べばいいのでは?」と思ってしまいます。しかし実は、プログラミングは小学生の頃からきちんと学んでいくことが効果的です。今回の記事では、どうして小学生の頃からプログラミングを学んだほうが効果的なのか?もし学ぶのであれば、どんな教材を使って学べばいいのか?などについて、詳しく解説していきます。この記事を読んで、早速プログラミング学習に取り組んでみましょう。
小学生でもどうしてプログラミングを学んだほうがよいのか?
小学生でもプログラミングを学んだほうがいい最大の理由は「論理的な思考が身に付くから」です。プログラミングとは、コンピューターにプログラム言語という特殊な言語を使い、指示を出して、自分の思い通りにコンピューターを動かすことの総称です。
コンピューターは人間のように曖昧な指示では、思い通りに動いてくれません。例えば「A地点まで進んで、右に曲がって、150m進んだら左に曲がれ」などというように、細かく適切な指示でなければ、スムーズに進んでくれないのです。
その指示の方法は常に「論理的」でなければいけませんし、指示内容にエラーが生じた時は、それを解決する為にも論理的に物事を考えられなければいけません。こうした論理的な思考は、プログラマーにならずとも、その他の様々な教科や仕事で役立ちます。
小さいころから、こうした論理的思考を持って生きている子供の方が、学力が高くなるとも言われているため、小学生の頃からプログラミングを学ぶことがおすすめです。
小学生のプログラミング学習は学校でも必修!それ以外の教材も必要な理由!
小学生のプログラミング学習は2020年から必修化されました。どうして必修化されたのかというと、以下の通りです。
・「プログラミング的思考」を育むこと
・プログラミングや情報技術の意義を理解し、コンピューター等を活用する姿勢を養うこと
・各教科等での学びをより確実なものとすること
このようなことを目的として、小学生の授業でもプログラミングは必修化されています。前述した通り、論理的な思考を身に付けてもらい、他の教科の学力も挙げていきたいという文部科学省の狙いが見えます。
もちろん、学校で教わることはとても重要なことで、全ての子供が学ぶべき内容です。しかし、おすすめなのはさらに別の教材を使って、小学生のお子さんにさらに論理的な思考を身に付けさせること。その理由を挙げてみました。
思う存分いくらでも学べるから
前述した通り小学校の授業でも、プログラミングの授業は必修化されていて、プログラミング的な考え方は授業に盛り込まれ始めました。ただし、学校で学ぶことは基礎中の基礎で、「プログラミング的な考え方を養うこと」が中心です。
小学生のお子さんの中には「もっとプログラミングを知りたい!」や、「プログラミングを勉強したら新しい仕組みを作れるかもしれない」とプログラミングに興味津々の子供もいるはずです。なので、学校の授業とは別に、小学生向けの教材でプログラミングに触れさせることは有効な教育方法の一つになります。
興味のあるプログラミングについてはどんどん学んだほうが効果的だから
さらには、プログラミングを段々と学んでいくにつれ、新しい事をどんどん取り入れたくなるのが、子供というものです。学校で教わった事とは別に「もっと学んでみたい」というお子さんなのであれば、別の教材を使ってどんどんプログラミングを学べた方が効果的です。
さらには、プログラミングに触れる時間を増やすと、小学生が理解するべきプログラミングよりももっと高度なプログラムについても興味を持たれるかもしれません。小学生の頃から、興味のあることをもっと学ぶ癖をつけておくことは、将来の選択肢を増やすことにも繋がるはずです。
小学生におすすめのプログラミング教材をご紹介
それでは、ここからは小学生におすすめのプログラミング教材をいくつかご紹介していきます。低学年のお子さんでも理解できるものと、高学年のお子さんにおすすめの教材があるので、その辺りも併せて見ていきましょう。
Scratch
1つ目は「Scratch」(スクラッチ)という学習教材です。こちらは、小学校低学年のお子さんにピッタリの学習教材になります。マサチューセッツ工科大学が開発したシステムで、簡単な命令を出すブロックを並べるだけで、コンピューターを思い通りに動かせるシンプルな教材になっています。
対象年齢は7歳から16歳までとされていて、キャラクターを動かす簡単なプログラムから、本格的なゲームプログラムまで作り上げることが可能です。創造的思考力を高めるのに向いている教材だと言われているため、小学生向けのプログラミング教室などでも活用されています。
150以上の国で利用されている教材で、無料で使えるためご自宅で使うプログラミング教材にするのにもおすすめです。
レゴ®ブースト
2つ目は「レゴ®ブースト」です。こちらは誰もが知っている、レゴブロックで作ったロボットをプログラミングで動かしてしまおうという、学習教材になります。レゴを使ってロボットを組み立てる楽しさも味わえますし、自分で入力したプログラミングで、ロボットを動かすワクワク感も感じることが出来ます。
小学校低学年のお子さんであれば、プログラミングそのものを教え込んでしまうよりも、モノづくりと併せてプログラミングの仕組みを体系的に学べた方が、より早く吸収することが出来るでしょう。レゴ自体は購入する必要がありますが、コードを入力するアプリは無料で手に入れることが可能です。子供とレゴを一緒に組み立てながら、親子の楽しい時間を共有することも出来るかもしれません。
Viscuit
3つ目は「Viscuit」(ビスケット)です。こちらの教材は、対象年齢4歳からということもあり、前述したScratchよりも、さらにシンプルな仕組みになっています。スマホやタブレット端末でプログラミングを直感的に学ぶことが出来るプログラミング教材です。
自分で描いた絵を使ってプログラミングを入力し、簡単なゲームなどを作ることが出来ます。「プログラミングの入門教材」としてはピッタリで、Viscuitが物足りなくなってきたお子さんは、Scratchに移行するというような使い方もいいかもしれません。
ちなみに、小学校のプログラミングの教育でもこの教材は使われることになっていて、自宅でも学校の授業同様に、プログラミングに触れさせることが出来るでしょう。常にプログラミング教材に触れさせておくことで、より高度なプログラミングに興味を持ってくれる可能性も高いです。
micro:bit
4つ目は「micro:bit」(マイクロビット)です。ここからは、小学校の高学年以上のお子さんにおすすめのプログラミング教材になります。micro:bitは、簡単に言うと「超小型のコンピューター」で、自分で工作したパーツに取り付けて、自在に動かすことが出来るという教材です。
自分の好きな工作を自在に動かすことが出来るようになるため、ロボットなどに興味があるお子さんにはピッタリの教材でしょう。光らせたりする仕組みも備わっているので、より複雑なシステム構築が可能です。11歳以上の子供を対象年齢としているため、低学年のお子さんには、ちょっと難しいかもしれません。今後、学校の授業などでも取り入れられていきそうです。
レゴ®マインドストーム
5つ目は「レゴ®マインドストーム」です。こちらは、レゴ®ブーストをより複雑化したレゴのプログラミング学習教材です。レゴ®ブーストとの大きな違いは、見た目がよりカッコよくなり、繊細に変化しているということです。
また、高性能なセンサーも取り付けられているため、レゴ®ブーストよりも出来ることが格段に増えています。その分、入力するプログラムも複雑になっていますが、小学校高学年のお子さんであれば、十分に理解して楽しく遊べるでしょう。
小学校低学年のお子さんで、レゴ®ブーストでは物足りなく感じてきた場合にもおすすめで、より高度なプログラミングの考え方を理解することが出来るはずです。学校の授業で活用できる「教育版」も販売されているので、実際に今後学校で使われる可能性も高い教材です。
ニンテンドーラボ
6つ目は「ニンテンドーラボ」です。ニンテンドーラボは、任天堂の大人気家庭ゲーム機、「ニンテンドーswitch」と組み合わせて使うプログラミング教材になります。段ボールの素材を使って、自分でコントローラーを作ってしまおう!という製品で、子供から大人まで幅広く楽しめる教材になっています。
ピアノの鍵盤や釣り竿など様々な形のコントローラーを作ることが可能で、自分でプログラムを書き換えることも出来るため、かなり自由度が高いプログラミング教材だと言えるでしょう。
小学生におすすめのプログラミング教材 本編
小学生のうちからプログラミングを学ぶには、「小学生でも理解しやすい本を使うこと」もおすすめです。前述したScratchを学ぶための本も用意されているので、併用して活用するといいかもしれません。いくつかご紹介していきます。
5才からはじめる すくすくプログラミング
1冊目は「5才からはじめる すくすくプログラミング」です。こちらの本はScratchについて詳しく書かれている本で、小学校低学年のお子さんでも理解できる内容となっています。Scratchは、パソコンのキーボードを使わずにプログラミングを行えるので、低学年のお子さんが自分で学ぶのにもピッタリでしょう。
この本と、Scratchで学ぶだけで、プログラミングの基礎はかなり理解が進むはずです。学校でも教わる可能性は高いですが、自宅でも興味があればゲーム感覚で遊ばせるといいでしょう。
小学生からはじめるわくわくプログラミング
2冊目は「小学生からはじめるわくわくプログラミング」です。こちらは、対象年齢の目安が8歳以上となっているため、内容的には「5才からはじめる すくすくプログラミング」より少し高度です。プログラミングが国語や算数、社会、理科などとどんな関係性を持っているのか?を理解することが出来る本となっています。
Scratchに関してより深く解説がしてあったり、内容も充実させてあるため、子供と一緒に大人が読んで共に勉強していく本としても有効活用できます。
ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング
小学校の低学年のお子さんが、絵本でプログラミングを学びたいという場合には、「ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング」などのより、ソフトで簡単な内容のプログラミングの本がおすすめです。この絵本を読むと、論理的な思考の基礎を絵本を通じて学ぶことが出来ます。
さらに本の後半には、練習問題が収録されていて、きちんと理解しているかどうかをセルフチェックすることも可能です。「プログラミングって苦手だな」と思っているお子さんにピッタリの1冊かもしれません。
小学生がプログラミングを学ぶうえでの課題とは?
最後に、小学生のプログラミング教育において、どんな課題があるのか?という点について簡単にご紹介しておきます。
児童1人あたり1台のパソコンを準備出来ていない
日本では、小学生の児童一人当たりに1台のパソコンが準備されていません。パソコンが無ければ、全ての児童が平等にプログラミングの学習を受けることは不可能な為、今後の大きな課題となっています。
文部科学省が2020年に行った「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」では、4.9人に1台のパソコンしかない状態だと報告されているので、1児童に1台のパソコン設置までは、まだまだ時間がかかりそうです。諸外国よりもかなりICTのインフラ整備で遅れています。
学校の先生のスキルにかなりのバラツキがある
2020年から小学校でもプログラミングの授業は必修化されましたが、教える側の先生のスキルにバラツキがある事も問題視されています。小学校におけるプログラミングの必修化はスタートしたばかりで、教育現場での「プログラミング教育のセオリー」がまだ確立されていない状態です。
IT関連知識に強い先生であれば、満足のいく説明が出来るでしょうが、そうでない先生もいます。学校での教育内容は、年々アップデートされていくため、今後段々とノウハウが蓄積されていき、教育が均一化されていくと見られますが、しばらくは各先生・学校の手探りでの教育が行われると見ておきましょう。
まとめ
というわけで、今回は小学生がプログラミングを学ぶには、どんな教材を使えばいいのか?学校以外でも学ぶ必要があるのか?という点について、詳しく解説してきました。本文中に記載した通り、小学校でもプログラミング学習は、必修化されました。もちろん、学校の授業だけで済ませても問題ないのですが、余裕があれば、自宅でもプログラミングに触れる機会を作っておいた方が、学習面ではかなり有効でしょう。
今回ご紹介したような教材を準備して、早速小学生のプログラミング教育を積極的に行うのがおすすめです。お子さんの将来の選択肢が、格段に広がっていくかもしれません。