スマホをはじめ、コンピューターは我々の生活のあらゆるところに入り込んでいます。
それだけ、プログラミングの案件も膨大にあるということです。「人を見たら案件と思え」といった様相です。
しかし、それが自分のところに回ってくるかというと、それはまた別の話です。
この記事では、プログラミング案件にはどんなものがあるのか、という話から始まって、実績ゼロのフリーランスがどうやって案件を獲得していくのか、という戦略を考えます。
プログラミング案件を探す前に知っておきたい単語
クラウドソーシングサイト
クラウドソーシングサイトとは、業務委託で仕事を発注したい企業が募集を出し、それに仕事を受けたい人たちが応募するという形のサービスです。そのため、仕事を受けるために自身の実績などを利用して「自分が適任です!」と提案していく必要があります。
一方で、クラウドソーシングサイトにはたくさんの案件があったり、クラウドソーシングサイトを運営している会社が企業とのやり取りなどを監視しているので、報酬が払われないなどの心配はなく安心です。
多くのフリーランスや副業で案件を獲得している方が利用しているので、登録だけでもしておくべきでしょう。
エージェント
エージェントとは、仕事を獲得するための営業から契約までを全て、フリーランスエンジニアに代わって担当してくれる企業のことを言います。
これらのエージェントは、個人では獲得できないような案件も保有していることがあり、自身の可能性をより高めてくれます。また、クライアント企業との面談の練習などもしてくれることがあるので、あまり案件開発の経験がないという方でも安心です。
こちらの記事で、エージェントについて詳しく紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
単価
単価とは、案件を遂行した際の報酬のことをいい、単価は案件ごとにそれぞれ異なります。
例えば、比較的簡単に作成することができるwebサイト制作の案件は単価が低い傾向にあり、難易度の高いwebアプリ開発の案件は単価が高い傾向があります。また、最近では安く外注するためにとても低い単価で設定している案件があります。そのため、必ず単価を確認し、あまりにも低すぎる単価の案件は避けるようにしましょう。
また、まだプログラミングを始めていないという方は、ぜひ単価相場を先に調べてから、どの分野を学習するかを決めた方がいいと思います。
こちらの記事では、単価を上げるための方法を紹介しています。単価が低い案件しか獲得できないという方などはぜひ参考にしてみてください。
スキルセット別案件分類
「案件」とは、一般には「処理すべき問題」というような意味ですが、ここでは「ひとまとまりの仕事」というような意味で使っています。
わかりやすいところでいえば、フリーランスや副業として仕事をする人がよく利用する「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったクラウドソーシングサービスの中で、クライアントが発注するひとつひとつの仕事を「案件」と呼んだりします。
ITやプログラミングの世界での案件は、典型的には「プログラムを作る」ことになります。
メガバンクの基幹システムを作る、などという巨大案件もあれば、Excel VBAを使ったミニ案件もあります。大きなプロジェクトの一部を小さな案件として切り取って発注する、というようなことも頻繁に行われています。デバッグや保守といった案件もあります。
ここでは、そういう様々な案件を、受注するのに必要なあるいは推奨されるスキルセットという観点で分類してみます。
Web開発
Webサイト構築やWebアプリケーション開発に関わる案件です。
案件数が多く、比較的獲得しやすくなっています。
ユーザーの目に触れる部分を作るフロントエンドと、内部的なデータ処理やデータベースへの入出力などを扱うバックエンドに分けられます。
フロントエンド開発で必要なスキルは、HTML&CSSやJavaScriptのコーディングです。案件によってはWebデザインのスキルが必要なこともあります。他に比べて易しめのことが多いので、初心者が最初に獲得を目指すのに向いています。
バックエンド開発で必要なのは、Java、JavaScript、PHP、Rubyなどのプログラミング言語の知識です。Ruby on RailsなどのWeb開発プラットフォームが使えることが求められることもよくあります。また、データベースを扱うことも多いので、DBMSやSQLの知識も持っておきたいところです。
スマホ・モバイル開発
主にスマホアプリ開発に関わる案件です。今後ますます需要が増えそうなジャンルです。
言語としては、AndroidならJavaやKotlin、iOSならSwiftなどです。
案件によっては、スマホの機能を利用するための知識、例えば動画関連や音声認識についての知識を求められることがあります。
アプリケーション開発
WindowsやMac用のアプリケーションソフトの開発案件です。パソコンのOSのシェアはWindowsが8割程度を占めますから、Windowsno案件が多くなっています。
Windows用の開発言語としては、C$、Java、C、C++、VBなど、多様なものがあります。
ソフトの内容も、一般的な業務ソフトから医療関連のもの、株式などの投資関連や競馬に関するものなど、多岐にわたる案件があります。何かしら自分の知識が生きる案件があるかもしれないので、丹念に探してみるといいでしょう。
業務システム開発
顧客管理や在庫管理、経理など、オフィスワークにまつわるソフトを作る仕事です。
WindowsアプリやWebシステム、スマホアプリという形をとる場合は、それぞれのスキルが必要です。
また、業務システム案件ではExcelやAccessのVBAを使って作るものも多く見られます。VBAは比較的簡単な言語なので、プログラミング経験の浅い人でも取り組みやすいのではないでしょうか。
業務システム開発では、プログラミング技術に加えて、各種の業務知識が重要になってきます。何らかの業務経験があるとか、簿記の資格を持っているとかいうことがあれば心強いでしょう。
データベースの知識も欲しいところです。SQLに加え、データベース設計までできると、受注できる案件の幅が広がり、報酬アップが見込めます。
運用・保守・管理
すでにできあがっているシステムのメンテナンスなどを行う業務です。
障害に備えてWebサーバーの監視・管理を行うとった案件もあります。こういう仕事では、月ごとの固定報酬がもらえることもあります。
すでに障害が発生している状態で、「なんとかしてくれ」と、困りごとが持ち込まれるケースもあります。素早い対応が求められます。
ソフトのテストやデバッグ、動作検証といった案件もあります。
様々な不具合に対応するためには、そのシステムで使われている言語や技術に精通していることはもちろん、トラブルシューティングの経験も求められます。
プログラミングを学び始めたばかりの人には手を出しづらいジャンルと言えるでしょう。
「働き方」から見た案件分類
働き方の多様化が進んでいます。コロナ禍で、多くの方が在宅勤務を経験されました。いろいろな仕事が、実はリモートでもできるんだ、ということがわかってきました。
プログラミングの仕事も、「どこでやるか」ということに関して自由度が高いと言えます。
ここでは、そうした働き方に焦点をあてて、案件を見てみます。仕事を選ぶ際には、持っているスキルに加えて、働き方も、自分に合うかどうかの判断基準となり得ます。
常駐型
職場や現場に出勤し、そこで作業を行う形態です。
IT系の企業などに就職した場合は、まずはこの形態になることが多いでしょう。
プログラム開発は通常、共同作業で行われます。緊密にコミュニケーションをとりながら進めないとうまくいきません。1つの場所に集まって仕事をすることは、コミュニケーションをとる上で大きなメリットがあります。
常駐型のエンジニアには、正社員や契約社員、派遣社員などがいます。それに加えて、フリーランスとして常駐で仕事をするエンジニアもいます。
フリーランスの常駐エンジニアは、エージェント会社を通して企業と契約したり、ツテやコネを頼るなどして直接契約したりします。
フリーランスの場合は、「常駐の案件」をこなすという形で仕事をすることになります。
実際にその場所に行かなければならないので、遠隔地の案件は受けられないなど、地理的な制約を受けます。
在宅ワーク型
現場には行かず、自宅などで作業する形態です。コロナの影響で注目されるようになりました。
基本的には一人で作業しますが、実際にはチームの一員であることが多く、リモート会議システムなどを使ってコミュニケーションをとります。
時間や場所の制約が少ないので、自分のペースで働くことができます。フリーランスにとっては、複数の案件に同時に関わることも可能になります。ただし、オーバーワークには要注意です。自己管理が大切です。
クラウドソーシング型
「ランサーズ」や「クラウドワークス」などのクラウドソーシングサービスに登録して、仕事を探すタイプです。
ツテやコネがなく、自分で案件を探すのが難しいフリーランスの人は、とりあえずこれらのサービスに登録してみるとよいでしょう。
上で紹介したような様々なタイプの案件を見つけることができます。比較的短時間で終わる単発の案件もあれば、常駐やリモートで働くチームの一員を募集するものもあります。
よさそうな案件を見つけたら、応募します。めでたくクライアントに選んでもらえたなら、仕事を開始します。
かなりの高額案件もあり、大きく稼ぐ人もいます。ただし、良い案件は競争も激しく、受注するのは容易ではありません。実績を積み、「デキる」人間であることをアピールする必要があります。
オススメのクラウドソーシングサイト
クラウドワークス
代表的なクラウドソーシングサービスの一つが、このクラウドワークスです。
クラウドワークスを運営する株式会社クラウドワークスは東京マザーズに上場しているので、企業が報酬を払わないなどの問題が発生する可能性は低く、その点は安心できます。
また、クラウドワークスは知名度も高く、案件募集数も多いので未経験者でも比較的簡単に案件受注ができるサイトの一つといえるでしょう。
また、案件をこなしていくことで実績が溜まっていきます。これを見て企業側は、仕事を発注するかどうかを判断するので、この実績を溜めることが単価の高い案件を受けるための近道となります。
ランサーズ
クラウドワークスと並んで、知名度の高いクラウドソーシングサイトと言えばこのランサーズです。クラウドワークスと大きな違いはありませんので、これらを併用するのがおすすめです。
また、ランサーズでは、独自に定めている基準を超えた発注者と受注者は、認定ランサーとして認められます。この認定ランサーをして認められると、単価の高い案件を受注しやすくなります。
また、ランサーズにはランサーズクラブオフなどの様々なサポートもあるので、気になる方は一度チェックしてみてください!
ITプロパートナーズ
ITプロパートナーズとは、ITエンジニアやWEBデザイナー向けの案件に特化したクラウドソーシングサイトです。
週3日以下勤務の案件やリモートワークOKの案件が多く揃っているのが特徴で、副業で案件を受注したい人も多く利用しています。
また、他のサイトよりも単価が高い傾向にあるという点も評価されています。副業で案件を探す方はこのサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。
初心者からの案件獲得術
プログラミングを覚え、クラウドソーシングサイトに登録しても、最初からどんどん案件が取れるわけではありません。
サービスに登録した最初の段階では、当然受注数は0になっています。クライアントとしても、実績0の人に仕事を任せるのはなかなか勇気のいることでしょう。
「0の壁」を突破し「1」に持っていくのが、なかなかの難所になってきます。そのためには、戦略的に動く必要があります。
ここでは、クラウドソーシングサイトでの立ち回り方を中心として、初心者フリーランサーがどうやって案件を獲得していくか、その戦略を探ります。
受注しやすいものから始める
受注実績0を1にする、そのためには、とにかく「受注しやすい」案件を狙うことが肝心です。
受注しやすい、というのには2つの意味があります。ひとつは「遂行しやすい」ということ、もうひとつは「受注する確率が高い」ということです。
特に初心者のうちはやれることも限られているでしょうから、背伸びして難しい案件に手を出さないほうがよいでしょう。また、応募者が殺到しているような案件で、実績のない人の提案が受け入れられるのは希なことです。
要するに、「簡単で、応募数が少ない」案件に応募するのです。応募者が少ない案件で、自分にできそうなものがあったら、ためらわず応募してみましょう。
そんな都合のいい案件があるのか、とお思いかもしれませんが、けっこう、あるのです。値段に目をつぶれば。
低予算の案件の発注者は、初心者でもいいからやって欲しい、むしろ初心者にやって欲しい、と思っている可能性があります。実績がないことがあまり問題にならないかもしれません。
こういう案件はWeb作成のフロントエンドの仕事によく見受けられます。これからプログラミングを学ぶ人にHTML&CSSやJavaScriptがお勧めである理由が、ここにあります。
ポートフォリオを充実させる
受注しやすい案件に応募したとしても、さすがにあなたに関する情報が何もなければクライアントとしても任せようがないでしょう。
そこで、応募に先立って、プロフィールを充実させるのが大切になってきます。特にポートフォリオに力を入れましょう。
ポートフォリオというのは、自分がこれまでにした仕事や作ったものをクライアントに見せるページのことです。
自分の作ったものを見てもらえば、一目瞭然で実力をわかってもらえます。その仕事にマッチする人材かどうか、判断材料にしてもらえます。
Webサイト構築の仕事を目指す場合なら、自分で構築したWebサイトなどがあれば、そこへのリンクを張っておけばOKです。最初は、学習過程で作成したものをブラッシュアップすれば十分でしょう。
受注実績を積み重ねれば、それ自体がアピールポイントとなってくれるわけですが、それまでの間は、ひたすらポートフォリオを充実させましょう。大変ですが、頑張ってください。
プラスアルファのスキルを獲得する
多くの案件は、「単スキル」ではなかなか遂行できません。
Webサイト作成の案件でいえば、コーディングだけお願いしたい、というものは意外と少なく、デザインからコーディングまでやって欲しい、というものが多いのです。中には、コンテンツの一部をも作成して欲しいという依頼もあります。
受注しやすい案件をこなせるようになってきたら、ぜひとも複数のスキルを獲得し、より複雑で高収入が見込める案件に挑戦してみましょう。
また、こちらの記事でポートフォリオについて詳しく解説しています。ポートフォリオを作成するイメージが湧かないという方はぜひ参考にしてみてください。
営業力を磨く
会社に属するSEならば、案件は営業部がとってきてくれたりします。しかし個人でやっている場合は、案件も自分でとらなければなりません。
これがなかなか大変です。フリーランスにとって、営業力が泣き所になることが多いのです。
クラウドソーソングでは、やはり実績がある人が有利なので、クラウドソーシングの中で案件を撮るのが困難だと思ったら、企業に直接営業をかける、というほうが手っ取り早いかもしれません。Web制作の会社などにメールを送って、面談などを経て、契約に至ったならば案件を振ってもらえる、という流れになるでしょう。その前に、ポートフォリオを作ることを忘れずに。
こうして直営行で実績を積むことができたならば、それをアピールポイントにしてクラウドソーシングでも案件が取りやすくなるでしょう。
直接営業はハードルが高い、というのならば、とりあえずクラウドソーシングサイトでの提案力を上げることを目指しましょう。
一方的に自分の長所を伝える、というようなやり方はうまくありません。まずはクライアントの達成したい目標や抱えている問題をよく理解し、それに対して自分がどういうふうに力になれるか、という持っていき方をするのがよいのではないでしょうか。
コミュニケーションの第一歩は相手をよく理解することです。案件の文面から、相手の「思い」をくみ取りましょう。
営業についてこちらの記事で紹介しています。実際のフリーランスエンジニアがどのような営業活動をしているのか等詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
「案件」は奥の深いものです。必要なスキルセットやかかる時間、報酬、競争相手、働き方などを考慮して、自分にやれるのか、やるべきなのかを見極め、獲得にまで至るのはなかなか険しい道のりです。「案件道」は一日にしてならず、精進あるのみです。