Python人気の秘密─言語の特徴からフリーランス案件まで

Python人気の秘密フリーランス

ファッションと同じように、プログラミング言語にも流行があります。Pythonは、今、最も流行っている言語と言ってもよいでしょう。

例えば、日経ソフトウエアというプログラミング雑誌では、ここ何年もの間『Python』の文字が表紙に載らなかったことがほぼないくらいです。

各種の人気言語ランキングでも、軒並み第1位を獲得しています。

その要因はどこにあるのでしょう?

まず、エンジニアではない人が、ファイル操作など日常的な繰り返しタスクをこなすのにも使える便利なスクリプト言語という側面があります。

また、Web開発案件が豊富にあり、フリーランスエンジニアが主力の言語としてPythonを選ぶことも可能な点も挙げられます。

そして何といっても、AIやデータサイエンスといったホットなジャンルでよく使われている言語という面が見逃せません。

この記事では、そんなPythonの言語的特徴、フリーランス向けの案件例、合わせて獲得したいスキルなどについて解説します。

Pythonの特徴

Pythonロゴ

Pythonは、とても人気の高い言語です。プログラミング初心者が最初に学ぶ言語としてもお勧めなうえに、プロの開発現場でもよく使われています。

人気なのにはちゃんと理由があります。その理由は、Pythonは学びやすく、コードがきれいになりやすく、強力なライブラリを備えているという特徴を持つからです。

スクリプト言語

Pythonはスクリプト言語です。

スクリプト言語というのは、比較的簡単な記述でプログラムを書ける言語のことをいいます。また、書いたその場ですぐ実行できるという特徴もあります。つまり、書いて実行するまでの時間が短くて済むということです。

Pythonには、文法的に難解なところが特になく、とても学びやすい言語です実行するのも簡単なので、書いては実行し、というサイクルを繰り返しやすい点も学習者には嬉しいポイントです。

日々のちょっとした作業の自動化といった、スクリプト言語らしい軽い使われ方をするだけでなく、Web開発など、ある程度大規模な開発にも使われています。

見やすいコード

Pythonの仕様上の大きな特徴に、インデント(字下げ)の強制というものがあります。

Pythonでは、if文やループなどで示されるコードの塊(ブロック)をインデントによって表します。行頭の字下げ位置が同じならば、同じブロックにある、とみなすのです。

インデントをすると、意味や機能ごとのコードのまとまりが一目瞭然で、コードがとても見やすく、読みやすく、理解しやすくなります。そのため、あらゆるプログラミング言語の入門書でインデントが推奨されています。

そのインデントを、Pythonではプログラマーに「必ず」するように強いているのです。

多くの言語では、インデントは強制されません。ただし、開発の現場では、組織内やプロジェクトごとのコーディング規約でインデントする決まりになっているのが普通です。

とはいえ、インデントを強制しない言語では、インデントしなかったからといってエラーが出たりはしません。それに対してPythonでは、適切にインデントしないと正常に動きません。

インデントの強制だけならば、他の言語で適切にインデントした場合と見やすさは大して変わりません。しかし、Pythonには、「ブロックの始まりや終わりを表す記号が必要ない」という大きなメリットがあります。

多くの言語では、ブロックを表すのにコードを{}で囲ったり、終わりのところに「end」と書いたりしなければなりません。階層が深くなると、それが何個も何個も重なって、とても見づらくなります。Pythonにはそういうものが必要ありません。

あまり美しいとは言えない 「}」 や「end」 の連なりを回避できるのは、大きな恩恵と言えるでしょう。

豊富なライブラリー

ライブラリの充実ぶりも、Pythonを人気言語に押し上げた大きな要因です。

ライブラリとは、様々な機能を集めたプログラム群です。自分のプログラムの中から使うことにより、そういった機能を自分で作らなくてもよくなります。ライブラリがどれほど充実しているかが、その言語でできることを決めると言っても過言ではありません。

Pyhtonには、ちょっとしたものからかなり高度なものまで、様々なライブラリが存在します。Pythonには初めからついてくる標準ライブラリと、必要に応じてインストールする外部ライブラリがあります。標準ライブラリだけでも相当なことができますが、外部ライブラリを使えばやれることは一気に広がります。

ライブラリの中でも特に注目度が高いのが、データ分析や機械学習に関わるものです。大量のデータを扱ったりグラフを表示したりできる「pndas」、複雑な数学の計算が行える「NumPy」、機械学習の様々なアルゴリズムが詰め込まれた「scikit-learn(sklearn)」などがあります。

これらは標準ではないため、Pythonだけをインストールした環境では、追加でインストールする必要があります。ただ、インストール方法はさほど難しくありません。

また、「Anaconda」というプラットフォームを使えば、Pythonに加え、「pandas」、「NumPy」、「sklearn」といった、データサイエンスや機械学習に使えるライブラリがいっぺんにインストールできます。

このように、それほど手間をかけずにAIやデータ分析に必要な機能が一通りそろってしまうところが、Pythonの高い人気に繋がっています。

Pythonの得意分野

Pythonコーディング画面

Pythonは、Excelファイルを操作したりしてちょっとした日常業務をこなすのも得意ですが、もっとスケールの大きな開発もバリバリこなすことができます。具体的には、Web開発、AI、データサイエンスなどの分野です。

Web開発(サーバーサイド)

Pythonは、サーバーサイドのWeb開発分野で活躍しています。その要因としては、優れたフレームワークが豊富にあることがあります。

フレームワークというのは、Web開発などに使われるソフトウエアで、ある程度の枠組みを自動で作ってくれるものです。これにより、一から全てコードを書くより、格段に開発スピードが上がります。

「Django」、「Flask」、「Bottle」など、様々なタイプのフレームワークが存在します。

「Django」は、フルスタックのフレームワークと呼ばれるもので、Web開発に必要な機能を一通り提供します。比較的規模の大きなWebアプリを作ることができます。

「Flask」は、必要最小限の機能だけを含むフレームワークで、サイトの規模などに応じて機能を追加できるようになっています。

「Bottle」は、「Flask」よりもさらにシンプルなフレームワークで、非常に軽量です。ごく小規模な、ちょっとした業務管理アプリなどを作るのに向いています。

このほかにも、Pythonで書かれたフレームワークは多数存在し、目的や規模などによって使い分けられています。

AI

現在、Pythonを学ぼうとする人のうち、かなり多くの人がAIを使いたいと考えているでしょうその理由として「pandas」、「NumPy」、「sklearn」など、簡単に手に入るライブラリで機械学習に必要なものが一通り揃うというのは大きいようです。

例えばちょっとした画像解析プログラムなら、驚くほど短いコードで書けたりします。Pythonは学びやすい言語ですから、AIを独学したいならまずPythonから入る、というのは妥当な選択でしょう。

Pythonを使った機械学習は、単に独学用教材として用いられるだけでなく、実際の現場で使われています。プログラミング言語を学ぶことを通してAIを学べるだけでなく、将来的に仕事に繋がる可能性もあるという点が、Phtyonの学習熱をさらに高めています。

データサイエンス

AIの隣接分野であるデータサイエンスも、Pythonの得意とするところです。

大量のデータを読み込んだり、グラフを描いたりするライブラリが豊富にあり、道具探しにはあまり苦労しません。また、既存のデータは大抵、欠損があるなど何らかの意味で「汚い」ものですが、それを分析に耐えられるようきれいにするという力仕事も、Pythonを使って行うことができます。

データ分析の分野で仕事を得たいなら、Pythonはぜひとも身につけておきたい言語のひとつということになります。

ただし、データサイエンティストにとってはPythonは数あるスキルのうちのひとつという位置づけになります。仕事では、統計学など、データから有益な情報を引き出すための様々な能力を要求されます。

Pythonのフリーランス案件例

Pythonと書いた紙を掲げる男性

Pythonは人気のプログラム言語で、開発の需要もたくさんあります。フリーランス向けの案件も豊富です。

Pythonでできる仕事は幅広いので、案件も多岐にわたります。その中で主流となっているのが、Web開発系とAI・データサイエンス系です。

ここでは、フリーランスエンジニア向けのクラウドソーシングやエージェントサイトでよく見かける案件について紹介します。

Web系

サーバーサイド、バックエンドのWeb開発は、Python案件の中でも数の多いものとなっています。

内容は、ECサイトの構築や保守、スマホアプリの開発、動画配信サービスの制作、金融系サービスに関わる業務など様々です。

募集の際に、「Django」や「Flask」など、使用するフレームワークの指定がある場合もよく見受けられます。

また、社内の業務システムの開発などもPythonを使用している例が多く、そういう案件もたくさんあります。そういう案件のうち、ごく小規模なものでは、「Bottle」などのシンプルなフレームワークが用いられることもあります。

Pythonを使うエンジニアにとって、最も手堅い仕事が、Web開発ということになるでしょう。

AI・データサイエンス系

Python関連のフリーランス案件として、近頃、非常に多いのが、AIやデータ分析に関するものです。

特に目につくキーワードが『DX』。企業におけるデジタルトランスフォーメーションを推進するために、AIエンジニアやデータサイエンティストが引っ張りだこになっている模様です。 

具体的な業務内容としては、機械学習のためのコーディングをするというものから、集計・データ加工・分析・可視化・レポート作成までを一気通貫で行う重たい業務まで、様々な案件があります。画像認識も大きなジャンルで、需要が高くなっています。

巨大なデータから有益な情報、特に企業の場合は利益に直結する情報を引き出す仕事であり、優秀な人材は非常に貴重なため、月額報酬が100万円近くの高額案件も散見されます。もちろん、このような案件は求められるスキルレベルも相当に高いことが想定されます。

フリーランスのPythonエンジニアとして身につけたい他のスキル

グラフ画面Pythonに限りませんが、プログラミング言語を知っている、コーディングができるというだけでは、フリーランスエンジニアとしては活躍の場が限られてきます。

言語に加えてもう1つ2つ、得意なことを加えることができれば、獲得できる案件の幅はグッと広がるでしょう。Web系かデータ分析系かでスキルセットは違ってきますが、中には両方に共通して重要なスキルも存在します。

フレームワークの知識

Web開発に携わるなら、フレームワークの知識は持っておきたいところです。Webアプリなどの開発には、フレームワークが使われることが多いからです。

RubyにおけるRuby on Railsのような支配的なフレームワークはPython界隈には存在しないため、「これさえ知ってれば大丈夫」とはなりにくいのはやや痛いところでしょうか。「Django」、「Flask」、「Bottle」など、よく使われるものを複数手駒に加えることができれば、心強いでしょう。

ただ、フレームワークはとてもたくさんあるので、キリがないという面はあります。タイプの違うものをいくつか学んでおけば、あとはその応用でなんとかなるかもしれません。

データベース/SQL

多くの商用Webサイトはバックエンドにデータベースを備えており、データの格納や取り出しを行っています。また、データ分析系の仕事でも、当然データベースは使います。

ですから、いずれの道に進むにしても、データベースを扱うための言語であるSQLくらいは覚えておく必要があるでしょう。SQLはとても強力な言語で、これがあるからこそデータベースは非常に便利である、とも言えます。ただし、普通のプログラミング言語とはだいぶ勝手が違うので、初心者は戸惑うことがあるかもしれません。

データベースの知識は大変有用ですが、Web系とデータ分析系では、データベースの使い方がやや異なります。そのため、特に重視すべきスキルも違ってきます。Web系ではトランザクションや障害に対する備え、データ分析系では大量のデータを扱うための効率のよいデータ格納法などが重要になってきます。

統計学

データサイエンティストと名乗るからには、統計学のエキスパートであることが期待されます。

現在は、高校数学で仮説検定の考え方を教えるなど、統計教育に国を挙げて非常に力が入れられています。その目的のひとつは、データ分析のできる人材を育成することです。

統計リテラシーの底上げが図られる中で、プロとしては仮説検定を理解しているくらいでは不十分です。様々な統計モデルに習熟し、多変量解析などの高度な分析手法も使いこなせる

必要があるでしょう。

分析手法を単にブラックボックスとして使いこなせるだけでなく、線形代数など大学レベルの数学の知識を通して計算原理から手法を理解するのが望ましいでしょう。

機械学習

AIは、もはや特別なものではなくなりました。その成果は、あちらこちらで日常的に利用されています。特に画像認識に関しては、驚異的な進歩をとげています。

学校の運動会や修学旅行のスナップ写真が廊下に貼り出されているのを見て、自分の子供が写っているものを探して買う──というのはもはや昔の話です。今はスマホで子供の顔写真を撮って登録すれば、瞬時に何百枚とある写真の中から子供が映っている写真を探し出してくれて、そのまま注文までできるのです。

これはほんの入り口に過ぎず、これからますますAIの活用は進んでいくことでしょう。機械学習・深層学習に精通したエンジニアは、いくらいても足りないくらいです。

AIエンジニアなら当然のこと、機械学習の各手法については詳しくなければなりません。専門がデータ分析であるという人でも、データ分析に機械学習・深層学習を使うのはそう特殊なことではなくなりましたから、やはり知識を深める必要があるでしょう。

せっかくPythonという機械学習ができる言語を学習するからには、そちら方面にノータッチでいるのはあまりにもったいないのではないでしょうか。たとえ自分の業務に関係ないと思っても、一度くらいはトライしてみる価値はあるでしょう。

まとめ

Pythonは、今、とてもホットな言語です。将来性も十分で、学ぶ価値の高い言語と言えます。データベースや機械学習も学んで、最強のPythonフリーランスエンジニアを目指してください。

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「未経験からフリーランスエンジニアにはなれない」

プログラミング業界では長年これが常識として受け入れられていました。
また、「フリーランスになりたいなら、一回就職・転職しなさい」と言われ、フリーランスへの道を一旦諦める方も多いです。

そもそも、未経験から最短でフリーランスエンジニアになることはできないのでしょうか?
答えはNoです。正しいスキル・案件開発実績を身に付けることが出来れば、例えプログラミング未経験だった方であっても、フリーランスとしての活動を始められます。

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