一般の企業に会社員として勤めていると、60歳から65歳くらいで定年を迎えます。しかしフリーランスという働き方を選ぶと、体が動く限り何歳まででも働くことが出来るのです。
とはいえ、フリーランスエンジニアにも年齢の限界はあります。
今回の記事では、あなたが最も知りたいことの1つ、「フリーランスエンジニアの限界年齢」について、詳しく解説していきましょう。
この記事を最後まで読んで頂ければ、フリーランスエンジニアの年齢について理解が深まるはずです。
フリーランスエンジニアの平均年齢ってどれくらい?
まずは、「フリーランスエンジニアとして働く人の平均年齢」を簡単にご紹介していきます。
一般社団法人の「フリーランス協会」が調査した「フリーランス白書2019」によると、フリーランスエンジニアの約70%程度が30代から40代の年齢となっています。
つまり、多くのエンジニアは30代を超えてからフリーランスとして独立し、その後の人生を個人事業主として過ごしているのです。
調査結果では、60代以上のフリーランスエンジニアも2%以上はいるようなので、高齢でもエンジニア業務をこなすことは可能なようです。
フリーランスエンジニアの限界年齢に対する考え方
フリーランスエンジニアの限界年齢を考えるにあたって、以下の2パターンの考え方があります。
- フリーランスエンジニアを始める限界年齢
- フリーランスエンジニアをやり続ける限界年齢
この2点です。それぞれの限界年齢について、少しだけ詳しく掘り下げて解説していきます。
フリーランスエンジニアを始める限界年齢
フリーランスエンジニアを目指すために知識ゼロからエンジニア業務を覚えようとすると、30代が限界年齢だとされています。
確かに、40代以上になってエンジニアの勉強を始められる方もいらっしゃいますが、知識の吸収速度がグッと落ちてしまうのです。
さらに、エンジニアとして働く際には、チームの中でコミュニケーションをとる場合も想定されます。
そうした時に、年齢が40代を超えている場合は、20代くらいのメンバーとコミュニケーションが取りづらくなる可能性もあるかもしれません。
そのため、知識ゼロからフリーランスエンジニアを目指したいのであれば、30代が目途だと考えておきましょう。
ちなみに、20代30代を会社員エンジニアとして過ごし、40代で独立してフリーランスエンジニアになるのであれば、年齢制限はあまり関係ないでしょう。
フリーランスエンジニアをやり続ける限界年齢
もう1つのポイントが、「フリーランスエンジニアとして働き続けられる限界年齢」です。
冒頭で記載した通り、フリーランスとして仕事を行っていれば、60代を過ぎ、70代80代になっても仕事をすることは可能です。
ただし、60代を超えると段々と体力的にも衰えてきて、20代30代の頃の自分とは違ってきます。
なので、20代30代の人が出来ないような仕事をやり方を変えてこなしていく必要があるのです。
60代を超えた時に、どんな仕事のスタイルで働きたいのかを若いころから具体的にイメージしておかなければいけません。
とはいえ、40代50代になったフリーランスエンジニアは、30代までのフリーランスよりも、コミュニケーションをとる能力が高いです。年齢を重ねることで、逆に有利に働くこともあることを忘れないようにしましょう。
フリーランスエンジニアは何歳から始められる?
フリーランスエンジニアとして働くことは、何歳からでも始めることができます。
そのため、10代で活躍しているフリーランスエンジニアもいます。しかし、未成年でフリーランスエンジニアになるなら「開業届」と共に、「未成年者登録簿」を提出する必要がある点に注意が必要です。
ただ、先述した通り、多くのフリーランスエンジニアは30代・40代です。未成年・20代前半からフリーランスエンジニアとして活躍している人は少数です。これは、多くの人が若いうちは企業に就職して経験を積むべきだと考えていることに起因しているでしょう。
ただ、Webサイト制作やWebアプリ開発などであれば、他のプログラミング言語・分野に比べて習得が容易なので、必ず企業に就職して実務経験を積まなければフリーランスとして活躍できないわけではありません。
若いうちにこれらのプログラミングスキルを習得して、独立して経験を積むことで、若くとも立派にフリーランスエンジニアとして活躍できる可能性は高いです。
年齢によってフリーランスエンジニアはメリット・デメリットがある
フリーランスエンジニアとして働いていると、年齢によっていくつかのメリット・デメリットがあります。
この項では、「20代30代」と「40代50代」に分けて、どんなメリットやデメリットがあるのかを、徹底解説していきます。
20代30代のメリット・デメリット
まずは、20代30代の若いフリーランスエンジニアのメリット・デメリットからです。
メリット
20代30代のフリーランスエンジニアのメリットは、以下の通りです。
- 若者とコミュニケーションをとる能力が高い
- ハードな仕事でも耐えることが出来る
- 若いうちからフリーランスとしての経験を積める
こちらが、20代30代の人がフリーランスエンジニアとして仕事をするメリットになります。
20代30代の人の最大の魅力は「若さ」です。
20代30代の若者の価値観を理解することが出来るので、若者とのコミュニケーションが円滑に進むでしょう。プロジェクトを進めていく際に、ストレスなく仕事をこなすことが出来るはずです。
さらに、若さゆえの「体力」もあるので、ハードな仕事量があってもこなすことが出来ます。
ITエンジニアの仕事には、当たり前ですが納期があります。
納期が迫ってくると、期日に間に合わせるために、多少のハードワークをする可能性も高いのです。
そういう事態に陥った場合でも、20代30代のエンジニアであれば、頑張って対処することが出来るので、大きなメリットになります。
そして、20代30代の若いうちからフリーランスエンジニアとして働いていると、会社員として働いている人とは違う経験を積むことが可能です。
フリーランスとしての経験は、実際にフリーランスになってみなければ分かりません。
いい経験も悪い経験もありますが、その経験を若いうちから積んでおけば、この先の人生に有利に働くことは間違いないでしょう。
その他、柔軟な発想が出やすいのも、20代30代の若いフリーランスエンジニアの魅力として挙げられます。
デメリット
20代30代のフリーランスエンジニアのデメリットも見ていきましょう。
- 経験値が少ない
- 信用されにくい
- 単価が低くなりがち
このあたりが、デメリットです。
まず、20代30代でフリーランスエンジニアになると、実務経験があまりない状態でフリーランスになっている可能性も高いです。
もちろん、大学卒業後にすぐにエンジニアになり、それから10年以上会社員エンジニアとして働いた後に独立するのであれば、かなりの経験を積んでいると言えます。
しかし、20代の頃からフリーランスとなってしまうと、実務経験が1年から3年程度で独立してしまうケースもあるでしょう。
そういった場合に経験値が浅すぎて、十分な報酬を得るための仕事を獲得することが出来ないかもしれません。
また、フリーランスという働き方は「信用されにくい働き方」です。
会社員エンジニアとして企業に雇用されていれば、最終的な責任は会社が取ってくれるので、クライアントも安心して契約を結んでくれます。
しかし、フリーランスとして契約してもらおうとすると、クライアントも慎重になってきます。
フリーランスエンジニアという肩書では「どんな仕事をこなしてくれる人なのか?」がとても分かりにくいためです。
質の悪いフリーランスエンジニアと契約を交わしてしまうと、クライアントの進めているプロジェクトに悪影響が出る可能性も高いからです。
40代50代までエンジニアとして働いた経験があれば、ある程度の信用は保てますが、20代30代の若いうちに同様の信用度は得にくいでしょう。
そして、20代30代のうちにフリーランスとして独立してしまうと、「単価が低くなりがち」というデメリットもあります。
フリーランスとして働く場合は、会社員エンジニアとは異なり、自分で作業単価の交渉を行わなければいけません。当たり前ですが、価値の高い仕事をこなした方が契約する報酬額は高くなります。
20代30代のうちから、ベテランエンジニアのように価値の高いスキルを提供できれば問題ないですが、そのスキルが足りていない場合には、報酬単価は低くなってしまうはずです。
もし、不安なのであれば一度会社員エンジニアとして実務経験をしっかりと積み、ベテランエンジニア並みの仕事ができるようになってから、フリーランスとして独立しても遅くはないかもしれません。
40代50代のメリット・デメリット
一方で、40代50代になってからフリーランスという働き方を選んだ場合の、メリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
40代50代のフリーランスエンジニアのメリットはこちらです。
- 経験と技術力が豊富
- マネジメント能力がある可能性が高い
- 人脈がある
メリットとしては、こういった感じでしょう。
40代50代までエンジニアを勤め上げてきて、フリーランスとして独立しているのであれば、「経験と技術力」が若いエンジニアと比べてかなり豊富にあります。
そのため、請け負える仕事の幅も広がっていて高単価な案件を受注しやすくなっています。
経験があるので、今までこなしたことのない作業でも、知識を応用して効率的にこなしていけるかもしれません。
また、エンジニアの仕事としてはチームでプロジェクトを進めていく場合も多いです。
そうなった時に、40代50代のエンジニアは、今までの経験を活かしたマネジメント能力を発揮できる可能性は高いです。
若者とのコミュニケーションはあまり得意ではないかもしれませんが、プロジェクト全体を俯瞰してみて、より生産性の高いチームに改善するスキルは、若いエンジニアより高いはずです。
チーム内の雰囲気も良くなる可能性は高いでしょう。
さらに、40代50代になってフリーランスエンジニアになると、それまで積み上げてきた「人脈」が生きます。
40代50代までエンジニア業を続けてきたのであれば、かなり多くのクライアントと接しています。
そこから生まれる人脈は、20代30代の若いエンジニアには絶対に手に入れられないものばかりなのです。
人脈があるから受注できる仕事も増えるでしょうし、人脈があるから自分で分からない事を聞くことも出来ます。40代50代でフリーランスエンジニアになった際には、この人脈をフル活用しなければ損をします。
デメリット
では、40代50代のフリーランスエンジニアには、どんなデメリットがあるのでしょうか?
- 年齢を重ねている分若者からみて扱いづらい
- 希望単価が高すぎて、仕事が受注できない
- ハードワークが段々出来なくなる
こういったことが、40代50代のフリーランスエンジニアのデメリットになります。
まず、40代50代になると社会的な経験も豊富な為、20代30代の若いエンジニアが「どうやって接すればいいのかわからない。」と悩んでしまう事もあるでしょう。
若いエンジニアからすれば、言いたいことも言えない状態が発生してしまうかもしれません。
20代30代の若いエンジニアから「扱いづらい人」だと思われてしまうデメリットがあります。
次に、40代50代のフリーランスエンジニアは「仕事の単価が高くなってしまう」というデメリットがあります。
40代50代までエンジニア業を続けていると、様々な経験を積んでいるため、品質の高い仕事をこなせるでしょう。
そのため、エンジニアから提案する金額も若いエンジニアと比べると、多少高くなってしまうのが普通です。
企業側からすれば、「同じ作業を出来るだけ安くこなしてほしい」と考えるので、40代50代のエンジニアが希望する高単価案件を受注しにくくなるはずです。
市場の相場を見ながら、作業単価を変動させていくことがとても重要になってきます。
そして、40代50代でフリーランスエンジニアをしていると「体力的な問題」にも直面します。
エンジニアの仕事は、クライアントの希望した納期に合わせて納品を行わなければいけません。
そのため、納期が迫ってくるとそれなりのハードワークを求められます。
そうなった時に、40代50代のフリーランスエンジニアは、体力的にどうしても20代30代のエンジニアよりは劣ってしまうでしょう。
納期ぎりぎりにならないようにスケジューリングを組むことも大切ですが、体力不足により急な変化に対処しにくいのは、一つのデメリットです。
年齢が若くないので、クライアントから契約を渋られてしまう可能性もあるかもしれません。
それでは、次項から「若いエンジニア」と「40代以上のエンジニア」に分け、それぞれの年齢のフリーランスエンジニアがやるべきことを、いくつかご紹介していきます。
若い年齢のフリーランスエンジニアがやるべきこと
まずは、20代30代の若い年齢のフリーランスエンジニアがやるべきことをまとめてみました。
- 実績を積む
- スキルアップを心がける
- 将来のイメージを持って働く
これらのことに注意して20代30代のフリーランスエンジニアは活動するといいでしょう。
それぞれ詳しく解説いたします。
実績を積む
1つ目のやるべきことは「実績を積むこと」です。
若いうちからフリーランスになると、仕事を集めてくることに苦労してしまいます。
例えば、フリーランス専用のエージェントを活用したり、クラウドソーシングなどを活用して、単価が低くても実績が積める仕事を沢山こなしましょう。
実績が積みあがっていくと、段々と単価が高い仕事も受注しやすくなります。
自分を売り込む際にも、自信を持ってクライアントと交渉しやすくなるはずです。
スキルアップを心がける
2つ目のやるべきことは「スキルアップを心がけること」です。
スキルアップは「自分で新しいウェブサービスを開発すること」などで身に付きます。
新しいサービスを産み出そうとすると、今まで触れたこともないような分野の作業に携わる場合もあるため、新しいスキルを身に付けることに繋がりやすいです。
さらに、作り出したウェブサービスはあなたのポートフォリオにもなるので、自分のスキルをクライアントに知ってもらう絶好の方法でしょう。
交渉を格段にスムーズに運びやすくなるはずです。
スキルアップをしたことで、受注できる案件も高額なものになりやすいでしょう。
フリーランスエンジニアのスキルアップのために何ができるかをこちらの記事でまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
将来のイメージを持って働く
3つ目のやるべきことは「将来のイメージを持って働くこと」です。
フリーランスエンジニアとして長期的に働き続け、40代50代になったころにはどうなりたいのか?という視点を持って、若いうちから仕事に勤しむのはとても重要です。
現時点で身に付けたいスキルを書きだし、そこに向かって仕事をこなしていく方法でもいいでしょう。
とにかく、人生のビジョンを意識して毎日の仕事をこなすことが大切です。
40代以上の年齢のエンジニアがやるべきこと
一方で、ベテランの40代50代のフリーランスエンジニアは、どんなことをやっていけばいいのでしょうか?
- 新しい事を受け入れる姿勢を持つ
- コミュニケーションを積極的に行う
- 徹底した体調管理を行う
こういったことに気を付けながら、仕事をこなしていくべきです。
それぞれ、深掘り解説しましょう。
新しい事を受け入れる姿勢を持つ
1つ目のやるべきことは「新しい事を受け入れる姿勢を持つこと」です。
ベテランのエンジニアになると、今まで積み上げてきた実績が邪魔をして、新しい事を受け入れにくくなります。
なので、意識して新しい事を取り入れようとする努力が必要です。
新しい事を取り入れられると、もっと多くの高額案件を受注できるかもしれません。
コミュニケーションを積極的に行う
2つ目のやるべきことは「コミュニケーションを積極的に行うこと」です。
40代以上のベテランエンジニアであれば、プログラミング能力の他に「マネジメント能力」も期待されやすいです。
マネジメントスキルを高めるためには、意識して色々な人とコミュニケーションをとるのが重要。
若いころの自分から、少しステップアップする努力が必要です。
徹底した体調管理を行う
3つ目のやるべきことは「徹底した体調管理」です。
40代を超えると、体のいたるところに不調が現れやすいです。
そのため、バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠をとって健康な体を維持できるように努めましょう。
若いころと同じような働き方をしてしまうと、すぐに病気になって仕事ができなくなります。
フリーランスエンジニアの仕事に限界年齢が無い理由
ここまでご紹介したように、フリーランスエンジニアには、実質的に限界年齢がありません。
どうして、限界年齢が無いのか?その理由を簡単に解説いたします。
慢性的にフリーランスエンジニアが足りていない
1つ目の理由は「IT業界では、慢性的にエンジニアが足りていないから」です。
IT業界は急速に成長を続けている業界です。
そのため、常に人手不足が深刻になっています。
経済産業省が行った「IT 人材需給に関する調査」によると、エンジニアは2030年ごろに約79万人不足すると試算されています。
つまり、2022年現在でも人手不足の状態は起こっていて、今後さらに悪化すると言われているのです。
慢性的に人が足りていないため、フリーランスエンジニアに年齢の限界は起こりにくいでしょう。
フリーランスエンジニアであれば年齢を気にされなくなった
2つ目の理由は「フリーランスエンジニアであれば、年齢の事を言う人が減った」ということです。
日本では「フリーランスとして働く」という考えが段々浸透し始めています。
そのため、「フリーランスエンジニアをしています」とクライアントに伝えても、ある程度の信用をしてもらえるように変化しつつあります。
仕事をきちんとこなしてくれるのであれば、年齢が何歳であろうと関係ないという考え方に変わってきているのです。
どの年齢になってもプログラミングスクールなどで学び直せる
あなたがもし、フリーランスエンジニアとして独立した場合、スキル不足を感じたのであれば、再度プログラミングスクールの受講を考えてもOKです。
プログラミングスクールには、様々なコースが用意されているので、ハイレベルな最新技術を学ぶことも出来ます。年齢を重ねて最新の技術についていけないと感じた場合は、気軽にプログラミングスクールに相談に行ってみましょう。
スクールを通じて、新しいコネクションを手に入れるチャンスになることもあります。
まとめ
というわけで、今回は「フリーランスエンジニアの限界年齢」について詳しく解説してきました。
結論としては「フリーランスエンジニアに限界年齢はない」ということになります。
もし、あなたがフリーランスエンジニアになりたいのであれば、早速スクールを受講して、案件を獲得できるだけのスキルを身に付けられてはいかがでしょうか?