近年、エンジニアの需要や将来性が高まり、エンジニアを目指す方が増えています。
そんな中で、IT企業が選考の際にエンジニアの適性検査を実施しているということをよく耳にします。しかし、適性検査についてはまだまだ認知度が低いです。
エンジニアを目指している方の中には「適性検査って何が出題されるの」「適性検査をどうやって対策すればいいの」といった不安を持つ方も多いです。
そこでこの記事では、みなさんが安心して適性検査に望めるように適性検査について詳しく説明します。
適性検査とは
IT企業に限らず、ほぼすべての職種の企業で採用の際に適性検査を導入するようになりました。
今までの採用は面接が中心でした。しかし面接だけだと、採用試験を受けに来ている人の性格や価値観まで見抜くことは難しく、すぐに辞めてしまう人や仕事のモチベーションを失ってしまう人がたくさんいました。
そこで使われだしたのが適性検査です。
適性検査とは、ある人がその職業にどのくらい適した素質を持っているのかを測る試験のことを言います。
適性検査は、学力を測る学力検査と人間の性格や考え方を定量的に測定する性格検査に分かれていることが多いです。そして、企業側はこの学力検査と性格検査を総合的に判断して、自社に合う人材かどうかを判断します。
そのため、適性検査の結果次第では面接を受けさせてもらえないということもあります。
このようにして、企業は本当に活躍できる人材を獲得しようとしているのです。
また、適性検査には様々な種類があり、職種によって使われる検査が違います。一般的に有名な適性検査にはSPIや玉手箱などが挙げられます。
一方、IT分野の企業でよく使われる検査は、次の4つです。
- CAB
- GAB
- ATPP
- IMAGES
適性検査のうち性格検査は、その人の性格や価値観に関わる部分なので、検査対策をして本当の自分とは違う結果を出そうとするのは止めた方がいいでしょう。性格診断はその企業と自分が本当に合っているのかを知る機会だからです。過去問をざっと眺める程度にしておきましょう。
しかし、学力検査は対策を行うことで結果を伸ばすことができます。適性検査ごとに内容や傾向も全然違うので、しっかり検査ごとの対策をしましょう。
適性のある人の特徴
適性検査を受ける前にどういう人がエンジニアに適性があるのかを知っておくといいと思います。
そこで、一般的にエンジニアに適性があるといわれている人の特徴について紹介します。
論理的思考力
論理的思考力とは、情報の中から自分に必要な情報だけを取り出し、それらを論理的に筋道立てて考える力のことです。
プログラミングには、この論理的思考力が必要とされています。プログラミングはコンピュータにさせたい命令を順番に並べ替える作業のことです。
命令が間違っていたり、命令の順番が間違っていたりするとコンピュータは正しく動きません。論理的思考をして、正しく命令していくことが大事なのです。
論理的思考はエンジニアに必須のスキルといえますが、一長一短で身に付くものではありません。プログラミングに実際に触れながら、論理的思考力を伸ばしていきましょう。
精神面の強さ
エンジニアの仕事量はとても多く、エンジニアの方はとても忙しく働いています。また、納期が迫ってくると、その納期に間に合わせないといけないというプレッシャーがあります。
このようにエンジニアという仕事は、時に辛いと感じる時間があります。
エンジニアの仕事を続けるためには心に余裕を持ち、いつでも仕事を楽しめるような精神面の強さが必要です。
継続力がある
プログラミングを続けていくうえで、一番時間をかける作業はエラー処理になると思います。
プログラムはプログラミングでの命令の順番がおかしかったり、スペルミスがあったりするだけで正しく動かず、エラーの表示が出ます。このため、どんなにプログラミング歴の長い人でもエラーをよく発生させています。
初心者の方だと、なぜエラーが発生しているのか分からないまま、何時間も経ってしまうということもあります。
しかしエンジニアとして働くには、ネットなどで調べながらエラーをすべて処理していく継続力を身に付けなければなりません。
学習意欲が高い
プログラミングの技術や知識は日々進化しているので、すぐに新しい技術や知識が更新されていきます。
このため、エンジニアになったら学習を辞めてしまうという人は持っている知識や技術が古くなっていくので、エンジニアとしての評価が下がっていきます。
よってエンジニアになってからも、自分で最新の技術や知識を常に追い求めるような学習意欲の高さがエンジニアには必要です。
コミュニケーション能力
エンジニアはパソコンと向き合う時間が長いため、コミュニケーション能力はいらないと思われることが多いです。
しかし実は、エンジニアにとってコミュニケーション能力はとても重要です。
エンジニアは、依頼主の考えるシステムを作らなければなりません。そのため、ITに詳しくない依頼主であったら、ITに関する知識の説明をする必要があります。また、システムを作る過程でもこまめに依頼主と連絡を取り、依頼主の求めるものになっているかを確認します。
加えて、大きな案件だとチームを組んで取り組むことが多いので、チーム内での連携も大事になります。
このようにエンジニアは多くの人と関わるので、コミュニケーション能力は大切です。
適性のない人の特徴
では、エンジニアの適性がない人の特徴について紹介します。
モノづくりが好きではない
エンジニアの仕事は、依頼主が希望するシステムやプログラムを作ることです。時には、0からシステムやプログラムを考えることもあります。
自分で考えたシステムやプログラムが仕事仲間らと協力しながら完成した時は、何とも言えない達成感や幸福感が味わえます。
しかしモノづくりが好きでない人だと、自分で0から作ったり、協力して何かを完成させたりする作業は苦痛に感じてしまうでしょう。そのため、モノづくりが好きではない人はエンジニアにあまり向いていないかもしれません。
飽きやすい
エンジニアの仕事では直すという作業が多いです。
システムの設計書は、依頼主が納得するものにしなければいけないので、何度も訂正することがあります。また、プログラミング中のエラーの処理やテスト作業は繰り返し行う必要があります。
そのため、地味な作業を何度も行うのが苦痛で、飽きやすいという方はエンジニア向きではないかもしれません。
効率的に物事を進めることができない
エンジニアは常に効率を考えて仕事をしている人が多いです。
プログラミングでは、簡潔でスムーズに動くプログラムを完成させるためにプログラムを設計したり、コードを選んだりします。
また、エンジニアはプログラムが正しく動くかどうかのテストを数百回繰り返し行うことがあるのですが、これも工夫して簡単に済ませたりします。
このように、エンジニアは常に考えて効率よく仕事をすることが求められています。そのため、効率良く作業する工夫ができない人はエンジニアには向いていないといえるでしょう。
適性検査の種類
では、ここからはIT企業が主に導入している適性検査を4種類紹介します。
それぞれの適性検査の特徴を知り、対策していきましょう。
CAB
CABは「Computer Aptitude Battery」の頭文字を取ったもので、コンピューターを使う職業の適性を測る検査です。日本エス・エイチ・エル社が作成しています。
CABは自宅でも受験ができるウェブ型と試験会場に行って受験する筆記型があります。ウェブ型も筆記型も出題される分野に大きな違いはありません。しかし、試験時間はウェブ型が72分なのに対して、筆記型は95分です。このため、ウェブ型のほうが難易度が高いと言われています。
出題される分野は暗算・法則性・命令表・暗号の4分野と性格検査で、問題数が多いので、1問あたりにかけられる時間は10秒~30秒程です。このため、スピード感を持って解いていかなければいけません。
しかし、問題の傾向は過去の問題とあまり違いがないので、過去問を使った対策が有効です。過去問で速く解く練習をしておきましょう。
ATPP
IBM社が開発したATPPは、数学や算数の問題が出題され、エンジニアやプログラマーの適性を測るために使われています。このため、多くのIT企業が導入しています。
ATPPの試験科目は「数列」「算数」「様々な文字を含んだ5×5のマトリクス」の3科目です。どの科目も時間が短いので速く解いていく必要があります。
しかし、過去問が公開されていないので過去問で対策することができません。CABと内容が似ている点が多いので、CABを使って対策しましょう。
GAB
GABは「Graduate Aptitude Battery(総合適性診断テスト)」の頭文字を取ったもので、知力やマネジメント特性などを測るテストになります。こちらも日本エス・エイチ・エル社が作成しています。
CABはコンピュータを使った職種の適性を測るものだったのに対し、GABはコンピュータというよりは一般的な知力などを測るのに使われます。このため、商社や証券などでの総合職用の検査として導入されることが多いです。しかし、IT企業でもこのGABを導入しているというところが増えています。
GABには、筆記型・WebGAB・C-GAB・GAB Compactの4種類があります。
筆記型は企業が用意した会場で受験することになります。試験はマークシート方式で、言語理解・計数理解の2分野と性格適性検査で構成されています。それぞれの分野で制限時間が決まっており、言語理解が25分、計数理解が35分、適性検査が約30分の合計90分のテストです。
WebGABはWeb上で受験ができるテストで、自宅のパソコンでも受験ができます。この試験も筆記型と同じように言語理解・計数理解・適性検査で構成されています。試験時間も筆記型と同様で言語理解が25分、計数理解が35分です。しかし、性格適性検査は試験時間が決められておらず、すべて回答することで終了となります。目安は20分程度です。
C-GAPは全国に設置されているテストセンターで受けることができる試験です。テストセンターでは不正受験を防止するために写真撮影が行われ、用意されたパソコンを使って受験します。
C-GAPは言語理解・計数理解・英語・性格適性検査で構成され、性格適性検査は事前に家で受けてから来て、テストセンターで言語理解・計数理解・英語の3科目を受けます。試験時間は言語理解が15分、計数理解が15分、英語が10分です。
GAB CompactはGABを基にして、さらに難易度を高くして試験時間を短くした試験です。GABと形式は同じなのでGABを受験していると解きやすいと思います。試験時間は言語理解が12分、計数理解が15分、性格適性検査が30分です。
GABもスピード感を持って解くことが大事になります。過去の問題を使って充分に対策しましょう。
IMAGES
IMAGESもCABとGABと同じく日本エス・エイチ・エル社が作成しているテストで、受験者の基礎的な能力を測ることができます。短時間で試験は終わるので、受験者の多い企業はこの試験を導入していることが多いです。人気が出てきているIT企業でも使われます。
IMAGESは言語・暗算・英語・性格テストの4科目です。試験時間は言語が10分、暗算が10分、英語が10分、性格テストが30分です。
問題の難易度はそれほど高くはないですが、時間が短いので早く解いていかなければならず、焦ってしまうと思います。ケアレスミスをなるべく減らしていけるように、このテストに慣れることが大切だと思います。
気軽に受けられる適性検査
今まで紹介した適性検査は企業が実施して受けるという場合が多いです。このため、自分がエンジニアに向いているのかを気軽に知りたいという方には向きません。
そこで、ここではwebサイトなどで気軽に受けられる適性検査を紹介します。
一般財団法人エンジニアリング協会
エンジニアリング協会が実施している適性診断は、エンジニアリング協会のホームページで無料で約10分で受けることができるものです。
設問は15問で、これらに答えることでエンジニアの仕事に適性があるかどうかを測ることができます。
結果を見る画面で設問ごとの解説と詳しい講評が確認できるので、エンジニアの仕事について知りたいという方にもおすすめです。
マナラボ
マナラボは就職や転職に関する情報がまとめられているサイトで、この記事でCABテストを受験することができます。
この記事では15問が紹介されており、CABテストを無料で受けられる絶好の機会です。
一度適性検査がどのようなものかを知りたいという方はぜひチャレンジしてみてください。
GEEK JOB
プログラミングスクールのGEEK JOBは、ホームページ上で無料でプログラマー適性を診断してくれます。
この診断は所要時間が約7分の簡単な設問に答えると、プログラマーの適性と想定年収を測ることができます。
想定年収が出る適性検査は珍しく、時間もそこまでかからないので、ぜひ気軽に挑戦してみてください。
転職支援サイト
多くの転職支援サイトでは適性診断を行っています。この適性診断はエンジニアに特化しているわけではないので、どの業種や職種が自分に向いているのかを知ることができます。
このため、自分がエンジニアに向いているかどうかだけを知りたいという方には向きません。
しかし、エンジニアだけでなく本当に自分に向いている仕事は何かを見つけたいという方にとっては、自分の性格や現状に合った仕事を紹介してくれるのでおすすめです。
この結果に必ずしも従う必要はないので、ぜひ気軽な気持ちで一度診断を受けてみると意外な自分の一面が発見ができると思います。
適性検査の対策
適性検査は毎年出題傾向が同じだったり、速く解く慣れが必要だったりします。
このため、しっかり対策をすることでいい結果を残せるようになります。ここでは、適性検査の対策法をいくつか紹介します。
webサイト
適性検査にプログラミングの知識が多く出るということはありませんが、ITの知識は出題されることがありますし、プログラミングに必要な集中力や考え方はプログラミングを通して身に付けられます。
そこでおすすめなのがwebサイトでの対策です。
最近では、webサイトでもプログラミングやITの知識を学ぶことができます。サイトは、安価で気軽に学ぶことができる上に、カリキュラムや講義の質も高いので独学の方にも人気です。
例えば、プログラミングを学べる有名なサイトだとProgateやドットインストールが挙げられます。これらのサイトは実際に手を動かして学ぶスタイルなので、記憶の定着が速いです。
無料で一部の講座が受けられるので、興味のある方はぜひ体験してみてください。
参考書で勉強する
独学で対策をしようとする方の多くがまず参考書で勉強しようと考えるのではないでしょうか。
それぞれの適性検査ごとに対策本が販売されており、色々な出版社から出ていることもあるので種類も豊富です。また、本にはその適性検査に関する情報がまとまっています。このため、自分に合った本が一冊手元にあるととても便利です。
しかし、参考書は分からない箇所があっても質問ができないので、自分で何とかして解決しなければいけません。また、客観的に自分が成長しているのか分かりづらいのでモチベーションを保つのが大変です。
適性検査でいい結果を残すという目標を忘れずに、分からない箇所は自分で調べながら勉強していきましょう。
スクールに通う
スクールはプログラミングの知識や技術、コンピュータ関連の知識などを受講者が確実に身に付けられるようにカリキュラムを組んでいます。また、無駄のないテキストや現役エンジニアからの授業などで短期間で高いレベルまで到達することもできます。
そのため、適性検査で求められる集中力や考え方、ITに関する知識はスクールを通して身につけられるでしょう。
加えて、ほとんどのスクールは現役エンジニアとの面談やお話する時間が設けられているので、適性検査の対策の仕方や普段の仕事のことなどを聞くことができます。本職の方のお話はとても刺激になり、勉強のモチベーションが上がるはずです。
またエンジニアの即戦力として、企業ですぐに働きたいという方はスクールを選びましょう。
まとめ
この記事では、エンジニアの適性検査について紹介しました。
エンジニアは人気の高い職業になっているので、エンジニアを目指している方も多いと思います。そしてエンジニアを目指すなら、おそらく適性検査を受けることになるでしょう。
適性検査は対策することで結果を伸ばすことができます。適性検査の種類や特徴を知り、それぞれの対策を行って欲しいなと思います。
この記事が、あなたが適性検査を受ける際に役立つことを願っています。