フリーランスのITエンジニアの実態とは?働き方や年収を徹底解説
世の中のIT化や働き方改革などを要因として、フリーランスITエンジニアが注目を浴びています。「手に職をつけたい」や「年収を上げたい」といった理由から、フリーランスITエンジニアを目指す人も多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスITエンジニアの働き方や実際の年収、仕事の種類などを徹底的に解説します。未経験からフリーランスITエンジニアを目指す方法も紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
フリーランスITエンジニアとは?
フリーランスITエンジニアと会社員ITエンジニアの違いやフリーランスITエンジニアの働き方など、フリーランスITエンジニアに関する基礎知識を解説します。
フリーランスITエンジニアと会社員ITエンジニアの違い
フリーランスITエンジニアと会社員ITエンジニアは、同じITエンジニアでも大きな違いがあります。ここでは雇用形態・年収・福利厚生・税金・各種手続きの5項目にわけて、違いを解説します。
雇用形態
フリーランスITエンジニアは、案件ごとにクライアントと業務委託契約を交わします。雇用期間が決められていて、案件が終わると契約は終了します。業務委託契約の場合、企業は労働時間や労働場所、仕事に関する指示を行えません。これらは契約時点で合意する必要があり、フリーランスITエンジニアが合意できない場合は契約を結ぶ必要がないのです。
会社員ITエンジニアは、企業と雇用契約を結びます。契約期間は基本的に無期限で、長期的に働くことが可能です。しかし労働時間や労働場所などが決められているため、フリーランスITエンジニアに比べて自由度が低いです。
年収
フリーランスITエンジニア専門のエージェント「ProEngineer(プロエンジニア)」によると、フリーランスエンジニアの平均年収は720万円~840万円です。一方で会社員エンジニアの平均年収は、求人サイトの「求人ボックス」調べによると497万円です。
このことからフリーランスITエンジニアのほうが会社員ITエンジニアよりも、200万円以上も平均年収が高いことがわかります。さらにフリーランスITエンジニアであれば、スキルを磨くことでより高収入を目指すことも可能です。
福利厚生
会社員ITエンジニアであれば、企業が用意する様々な福利厚生を享受できます。一方で、フリーランスITエンジニアは、福利厚生をうけることはできません。
フリーランスITエンジニアは有休をとったり休業補償を受けたりすることができないため、病気や怪我で働けなくなったら収入がなくなってしまいます。フリーランスが個人的に加入できる福利厚生サービスも多数あるため、利用してみてもよいでしょう。
税金
会社員ITエンジニアであれば、企業が年末調整を行い税金を支払ってくれます。フリーランスITエンジニアの場合、自身で確定申告を行い税金を支払う必要があります。
フリーランスITエンジニアが支払うべき税金は、以下のとおりです。
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険税
- 国民年金税
さらにITエンジニアの職種によっては個人事業税がかかる場合があります。また2年前の年間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、消費税の支払い義務も発生します。脱税は犯罪となるため、フリーランスITエンジニアになったら税金関係はしっかりと把握するようにしましょう。
各種手続き
会社員ITエンジニアであれば、基本的にエンジニアの仕事だけに集中できます。請求書作成といった各種手続きは、経理や総務といった部署が行ってくれるためです。
しかしフリーランスITエンジニアであれば、全ての手続きを自分で行わなければなりません。エンジニアの仕事だけに集中できるわけではないため、仕事が増えてしまいます。
フリーランスITエンジニアの働き方
フリーランスITエンジニアの働き方は、在宅型と常駐型にわけられます。それぞれの働き方について解説します。
在宅型
在宅型は、リモート形式で仕事をする働き方です。Zoomで打ち合わせやChatworkで連絡を取るなど、様々なアプリケーションを駆使してコミュニケーションをとります。
在宅型のメリットは、仕事の場所や時間に融通がききやすいことです。自宅やカフェなど好きな場所で仕事ができるため、子育て中の人や地方に住んでいる人でも働きやすいです。
デメリットは、人脈を作りにくいことです。特に大人数のプロジェクトに参画した場合、コミュニケーションがうまく図れず仕事が思ったように進まないことがあります。そのため在宅型の場合、コミュニケーションに特に気を付けながら仕事をするとよいでしょう。
常駐型
常駐型は、企業に出向して仕事をする働き方です。会社員ITエンジニアと雇用形態が違うだけで、働く時間や場所は決められている場合がほとんどです。
常駐型のメリットは、案件の幅が広がる点です。実機を操作するインフラ領域の仕事や、セキュリティレベルの高い金融系の仕事を見つけることができます。
デメリットは、基本的に時間や場所が決められてしまうことです。「思ったような働き方ができなかった」ということがないように、契約を結ぶ際に条件をしっかりと確認するようにしましょう。
フリーランスITエンジニアの種類
一言でフリーランスITエンジニアといっても、仕事の種類は様々です。代表的なフリーランスITエンジニアの仕事は6つです。
- Webエンジニア
- Webデザイナー
- プログラマー
- システムエンジニア
- ゲームエンジニア
- インフラエンジニア
それぞれの仕事の内容を紹介します。
Webエンジニア
Webエンジニアは、Web系のシステムに携わるフリーランスITエンジニアです。Web系の知識やスキルを駆使して、WebサイトやWebアプリケーションを開発します。
Webエンジニアの仕事は、フロントエンドとバックエンドに分けられます。フロントエンドはユーザーから見える部分を、バックエンドはOSやサーバーなどユーザーから見えない部分を開発します。
Webエンジニアに必要なスキルはWeb系の知識やスキルに合わせて、UI/UXやデータベースなどです。PHPやPython、JavaScriptといったプログラミング言語も習得する必要があります。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトのデザインを行うフリーランスITエンジニアです。Webクリエイターやホームページデザイナーとも呼ばれます。
Webデザイナーに必要なスキルは、デザインスキルとプログラミングスキルです。具体的に必要なプログラミング言語は、HTMLやCSSといったWebサイト構築に必要な言語です。比較的習得が簡単な言語のため、プログラミング未経験であってもトライしやすいでしょう。
プログラマー
プログラマーは、プログラミングだけを行うフリーランスITエンジニアです。設計やテストといった作業は行いません。
プログラマーに必要なスキルは、プログラミング能力です。一言でプログラミング言語と言っても、PHPやJava、Rubyなど様々な種類があります。得意な言語を作っておくと、より高度なプロジェクトに関わることができます。
システムエンジニア
システムエンジニアとは、システム開発の設計やマネジメントを行うフリーランスITエンジニアです。クライアントからヒアリングをして設計をして、スケジューリングやプロジェクトメンバーに指示出しをします。
システムエンジニアに必要なスキルは、システム開発全般の知識やスキルとマネジメント能力です。システムエンジニアはシステム開発の上流工程に関わるため、幅広い知識が求められます。また場合によっては開発を担当することもあるため、プログラミング能力もあったほうがよいでしょう。
ゲームエンジニア
ゲームエンジニアとは、ゲーム開発に携わるフリーランスITエンジニアです。ゲームエンジニアが作成するゲームは、スマホゲームやVRゲームなど多岐にわたります。
ゲームエンジニアに必要なスキルは、Unityなどのゲームエンジニアに関する知識やスキルとプログラミング能力です。多くのゲームは、ゲームエンジンとプログラムを組み合わせて作られます。ゲームでよく使われるプログラミング言語は、C++やC#、JavaScriptなどです。
インフラエンジニア
インフラエンジニアとは、システムのインフラ関係に関する仕事を行うフリーランスITエンジニアです。インフラとはシステムの基盤部分を指します。インフラ関係が脆弱であるとシステムはうまく稼働しないため、インフラエンジニアには高い技術力が求められます。
インフラエンジニアに必要なスキルは、携わる領域によって異なります。ネットワークやサーバー、クラウドなど得意領域を決めて、知識を深めていくとよいでしょう。
こちらの記事で、フリーランスインフラエンジニアについて詳しく解説しています。インフラエンジニアに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスITエンジニアの将来性
フリーランスITエンジニアの将来性は高いです。その理由として、IT人材の不足やデジタル化の促進が挙げられます。
2019年にみずほ情報総研株式会社が行った「IT人材需給に関する調査」によると、2030年になると最大で78.7万人ものIT人材が不足する可能性があります。このIT人材が不足する未来で、スポットで案件契約が結べるフリーランスITエンジニアは企業にとって非常に重要な存在です。
フリーランスITエンジニアになるメリット・デメリット
フリーランスITエンジニアになるメリット・デメリットを紹介します。どちらの面も知ったうえで、フリーランスとして活動するか判断してみてください。
フリーランスITエンジニアになるメリット
フリーランスITエンジニアになるメリットは、以下のとおりです。
- 年収を上げられる
- ライフワークバランスを実現できる
- 好きな仕事ができる
- 企業に頼らずに生きていける
先述したとおり、会社員ITエンジニアよりもフリーランスITエンジニアの方が年収が高いです。また仕事量を増やしたりスキルを磨いたりすることで、より高収入を狙うこともできます。
そしてフリーランスITエンジニアであれば、仕事の時間や場所を自由に選択することができ、ライフワークバランスを実現できます。働き方に対する意識が変わる中、プライベートも充実させたいという人も多いはずです。そんな人にとってもフリーランスITエンジニアはおすすめの働き方です。
フリーランスITエンジニアになるデメリット
フリーランスITエンジニアになるデメリットは、以下のとおりです。
- 収入が安定しない
- ITエンジニア以外の仕事も増える
- 社会的信用が低い
- 福利厚生がない
フリーランスITエンジニアは、会社員ITエンジニアと違って自分で仕事を獲得する必要があります。仕事を得られなければ収入がないため、安定した収入がない点がデメリットです。また病気や怪我で仕事ができない場合、有給や休業手当といった福利厚生がない点も知っておく必要があります。
確定申告や請求書作成など、エンジニア以外の仕事もこなす必要があります。ほかにも社会的信用が低くローンが組みにくい点にも注意が必要です。
フリーランスITエンジニアに向いている人
フリーランスITエンジニアに向いている人には、以下のような特徴があります。
- コミュニケーション能力がある
- セルフマネジメント能力がある
- 向上心がある
何故上記の人がフリーランスITエンジニアに向いているのか、理由を紹介します。
コミュニケーション能力がある人
フリーランスITエンジニアは、自分自身でクライアントとやり取りや交渉をする必要があります。そのためコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーション能力とは、クライアントと仲良くなるだけではありません。相手の意図するものを汲み取る力、伝えたいことを論理的に組み立てる力、自分の意見を通す提案力などが必要です。
セルフマネジメント能力がある人
フリーランスITエンジニアにはセルフマネジメント能力、つまり自己管理能力が必要不可欠です。会社員であれば、企業や上司がある程度マネジメントを行ってくれます。しかしフリーランスになると、締め切りに間に合うようにスケジュール管理をしたり体調を崩さないように仕事量を調整したり、自分でコントロールしなければならないのです。
逆にセルフマネジメントができない人は、フリーランスITエンジニアとして長く活動することができません。自由に働ける分、自分を律して仕事をする必要があります。
向上心がある人
向上心があるフリーランスITエンジニアは、長く活躍することができます。デジタル化が進む中でIT業界は日々進歩を続けていて、新しい技術がどんどんと出てきています。そのため古い技術にしがみついていては、いつか淘汰されてしまうでしょう。
会社員ITエンジニアであれば、同僚との交流などをとおして新しい知識やスキルが入ってきやすいです。しかしフリーランスITエンジニアは、自分自身でスキルアップしていく必要があります。向上心を持って自ら進んでスキルアップできれば、長く活躍できるフリーランスとなれるでしょう。
未経験からフリーランスITエンジニアになる方法
未経験からフリーランスITエンジニアになる方法は、いくつかあります。
- 独学で勉強する
- 専門学校や大学に通う
- 未経験OKの企業へ就職する
- プログラミングスクールへ通う
様々な方法がありますが、おすすめはプログラミングスクールへ通うことです。プログラミングスクールであれば、プロの講師のサポートを受けながら学習を進められます。またカリキュラムに沿って学習を進めることで、独学よりも短期間で効率的にプログラミングを習得できます。
またスケジュールに柔軟に対応してくれることが多いため、会社員であっても土日や終業後に学習を進められます。費用も数十万ほどと専門学校や大学に通うよりも安くすみます。プログラミングスクールの中には案件を紹介してくれることもあるため、フリーランスITエンジニアを目指す人におすすめです。
フリーランスITエンジニアが案件を探す方法
フリーランスITエンジニアが案件を探す方法は、以下の6つです。
- 求人サイトを利用する
- クラウドソーシングサイトを利用する
- エージェントを利用する
- プログラミングスクールのサポートを受ける
- SNSで探す
- 知人に紹介してもらう
それぞれの方法について、詳しく解説します。
求人サイトを利用する
求人サイトには「Findly Freelance」といったITエンジニア専門サイトと「Indeed」などの一般の仕事募集もある総合サイトの2種類があります。
どちらもチェックして、より自分の希望する条件にマッチした案件を探すことをおすすめします。
クラウドソーシングサービスを利用する
「クラウドワークス」や「ランサーズ」といったクラウドソーシングサイトを利用する方法です。クラウドソーシングサイトとは、人材を求める企業とスキルを持つ人材のマッチングサイトです。
クラウドソーシングサービスのプラットフォームを利用することで、請求書作成といった作業を省いて仕事ができます。その分仲介手数料は高めのため、注意しましょう。
エージェントを利用する
エージェントを利用する場合「レバテックフリーランス」などのITエンジニア専門のエージェントを利用しましょう。自分のスキルや条件をエージェントに伝えると、ぴったりの案件を探し出してくれます。
エージェントを利用すると、案件探しの手間が省けます。さらに案件の単価が高めなことも特徴です。そのため、ある程度スキルが身についたらエージェント経由で仕事を探すことをおすすめします。
こちらの記事で、フリーランスエンジニア向けのエージェントを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
プログラミングスクールのサポートを受ける
プログラミングスクールによっては、案件や仕事の紹介サービスを行っています。プログラミングスクールは、IT企業と独自のパイプを持っていることも多く優良案件を紹介してもらえる可能性も高いです。
ただしこの方法を使うためには、プログラミングスクールに通う必要があります。プログラミングを学びつつ案件を獲得できるため、未経験者におすすめの案件獲得方法です。
こちらの記事で、フリーランスエンジニアを目指せるプログラミングスクールを消化しています。ぜひ参考にしてみてください。
SNSで探す
TwitterなどのSNSには、エンジニア募集の投稿があります。「#エンジニア募集」で検索をかければ、多くの投稿がヒットするはずです。
また自身のフリーランスITエンジニアとしての活動を投稿することで、企業から声がかかることもあるかもしれません。案件探しに限らず人脈作りもできるため、フリーランスになったらSNSをはじめることをおすすめします。
知人に紹介してもらう
知人からの紹介で案件を獲得する場合もあります。知人からの紹介であれば、好条件であったり信頼のおけるクライアントを紹介してもらえる可能性が高いです。
思わぬ人から案件を紹介してもらえることがあるため、フリーランスITエンジニアになったら活動をほかの人に話すようにするといいでしょう。また人脈を広げるために、勉強会やセミナーに参加するのもおすすめです。
フリーランスITエンジニアとして活躍し続ける方法
フリーランスITエンジニアとして活躍し続けるためには、向上心を持って勉強し続けることがポイントです。IT化が進んで技術革新も起こっているなか、時代に取り残されないようにスキルアップする必要があります。
フリーランスであれば、自分から動かなければ新しい技術を取り入れることはできません。勉強会やセミナーに参加したり、自分の活動を発信したり、向上心を持ってフリーランスITエンジニアとして活動します。
特定の分野の技術を極めることも重要です。プロフェッショナルと認められることで、案件が取りやすくなりさらなる高収入を目指せます。
まとめ
フリーランスITエンジニアには、Webエンジニアやプログラマー、インフラエンジニアなど様々な職種があります。職種によって仕事内容や必要なスキルは異なります。
フリーランスITエンジニアになるメリットは、ライフワークバランスの実現や企業に頼らずに生きていけるといったものです。一方で収入が安定しないことや福利厚生がないことがデメリットとして挙げられます。メリット・デメリットを知ったうえで、フリーランスITエンジニアを選択することが重要です。
IT業界未経験者であっても、プログラミングスクールに通うことでフリーランスITエンジニアになることは可能です。プログラミングスクールによっては案件紹介のサポートも展開しているため、気になる人はぜひスクールをチェックしてみてください。