大学生の皆さん、何か将来の目標を持っていますか?
夢はありますか?
学生時代は、のんきなようでいて、社会へ出る準備として何かやらなきゃ、といつも心の片隅に小さな焦りを抱えているような、微妙な時期でもあります。ぼうっとしていると、あっという間に過ぎ去ってしまいます。
もし、学業の他に何か打ち込めるものが欲しいと思っているなら、プログラミングを学んでフリーランスエンジニアを目指してみるのはいかがでしょうか。
フリーランスならば学業との両立も可能だし、将来のためのスキルアップにもつながります。実力次第では、高収入も狙えます。
フリーランスエンジニアを目指すならば、社会人になってからよりも、比較的時間のある学生時代に取り組むほうが理にかなっていてうまくいきやすい面もあります。
今回は、これから大学生になる、あるいは現在大学生である方のために、大学生フリーランスエンジニアの諸事情について調べてみました。
大学生と仕事
大学生ともなれば、多くの人が働いてお金を得るという経験をするでしょう。
大学の学費は上昇傾向にあり、大学生への親からの仕送りは減少傾向にあります。もはや大学生も、自分の生活は自分でなんとかする時代になりつつあります。
学費や生活費を稼ぐためという切実な理由があるにせよそうでないにせよ、社会に出る準備として大学生のうちに働くのはとてもよいことです。
現在、働き方は多様化していて、その波は大学生にも押し寄せているようです。
昔ながらのアルバイトをする学生はいまだに多いですが、そのほかにフリーランスという形もあります。クラウドソーシングサービスなどの発達により、大学生がフリーランスとして働くことはそれほど特殊なことではなくなりました。
それでは、アルバイトとフリーランスには、どのような違いがあるのか見てみましょう。
アルバイト
アルバイトは、学生の働き方としては定番中の定番です。多くの大学生が一度は経験するのではないでしょうか。
雇われて働くのが基本です。雇い主には、企業、個人でやっているお店、公的機関などがあります。飲食店やコンビニのほか、家庭教師や塾講師も学生バイトとしては人気があります。
社員となってガッチリ働くというよりは、比較的短時間・短期間の労働を指すのが普通です。どこかに行って、決められた時間働く、というのが基本になります。
通常、時給や日給という形で報酬を得ることになるので、忙しくても暇でももらえる金額は同じです。
アルバイトのとてもよいところは、人とつながりができることです。雇い主のお店の人やバイト仲間が、後の仕事につながる可能性もあります。その後フリーランスエンジニアになったときに、クライアントになったり仕事を持ってきたりしてくれることもあるかもしれません。フリーランスになる前に、一度はアルバイトを経験するのもよいものです。
フリーランス
誰かに雇われるのではなく、独立した個人事業主として仕事をするのがフリーランスです。
システム開発に携わるエンジニアのほか、デザイナー、イラストレーター、ライター、動画編集者など、様々な業種・職種のフリーランスが存在します。通信技術が発達し、多種多様な成果物がデジタルデータとして納品できる時代になったので、遠くの発注者とも容易に取引ができます。
案件単位で仕事を受けて、終了したら次の案件、というふうに働く場合が多くなっています。複数の案件を同時進行でこなすことも可能です。
フリーランスといえば、案件から案件、現場から現場へ渡り歩くというイメージがありますが、特定のクライアントから何度も依頼を受ける「継続案件」というものもあります。継続案件を持つことが、フリーランスの収入の安定につながります。
やればやっただけ収入になるので高収入も可能ですが、そのためにはそれなりのスキルが必要です。スケジュール管理なども自分でしなければなりません。
大学生フリーランスエンジニア
アルバイトとフリーランスのうち、手っ取り早く稼げるのはアルバイトです。未経験者可のものなど、特別なスキルがいらない仕事も数多くあります。
けれども、プログラミングに興味のある意欲的な学生さんの中には、フリーランスでエンジニアをやりたい方もいるでしょう。
また、プログラミングのスキルを活かしてお金を稼ぎたいというときも、フルタイムで雇われることが不可能な学生にとっては、フリーランスというのが有効な選択肢になります。
ここでは、そういう方たちのために、大学生がフリーランスエンジニアになるというのはどういうことなのか、掘り下げます。
大学生がフリーランスエンジニアになるメリット
大学生がフリーランスエンジニアになることには、様々な利点があります。大学生に非常に合った働き方と言ってよいでしょう。
主なメリットは、以下の通りです。
時間に融通が利く
学生の本分である学業といかに両立させるか、というのが、大学生が働く際の最大のポイントです。
フリーランスならば、学業が忙しいときには仕事をセーブする、ということがやりやすいため、両立させるのには向いていると言えるでしょう。
大学では、授業と授業の間が空くことがけっこうあります。また、突然休講になったりすることもよくあります。フリーランスエンジニアならば、そういう空いた時間にノートパソコンを使ってキャンパスの片隅で作業をする、ということも可能です。
このように、時間のやりくりがききやすいのがフリーランスエンジニアという働き方です。
スキルが身につく
フリーランスエンジニアになるための勉強をする過程で、あるいは実際に案件をこなす中で、プログラミングなどのスキルを身につけることができます。
プログラミングは、将来どういう道に進むにしても、身につけておいて損ではありません。これからの時代、プログラミングは、大学生のうちに身につけておくべきスキルの最上位に位置するといっても過言ではありません。
就職活動のための実績が作れる
エンジニアとして行った仕事は、実績として残っていきます。就職活動に際しては、それが企業に対する大きなアピールポイントになることでしょう。開発系の会社ならば、即戦力として採用してくれるかもしれません。
実社会との接点ができる
フリーランスとして働くと、様々な交渉ごとを自分でやる必要があるので、コミュニケーション能力が鍛えられます。
また、案件を通じてビジネスの世界を知ることができます。ときには厳しい現実も目の当たりにするかもしれませんが、それも大切な勉強です。
学問に打ち込むのは当然のことですが、それにプラスして大学生のうちになるべく社会と触れあう機会を持ちましょう。その経験は異業種に就職するにしても、大学に残って学者への道を歩むにしても、必ず役に立ちます。
上手くすれば高収入も
エンジニアは元々高収入につながりやすく、さらにフリーランスだと仕事量に応じて収入アップが見込めるので、人によってはかなり稼げます。そうすると、アルバイトよりもだいぶ割のいい仕事になります。
ただし、過度な期待はしないほうがいいでしょう。そうなるには、かなりのスキルが必要であることは確かです。
収入以外にも、上に記したような社会に出るにあたって有利になる点がたくさんあるので、それで十分ではないでしょうか。
大学生がフリーランスエンジニアになる手順
学生に限らずどんな人でも、フリーランスエンジニアになるためには、学習をはじめ周到な準備が必要です。
一般に、大学生には社会人よりは時間があります。よって、準備にも十分な時間を当てられる可能性が高いのです。けれども、あまりに学年が上がってから始めては、就職活動や卒業研究などの時期と重なってあまり稼ぐ時間がなくなってしまいます。
時間は限られているということを意識した上で、計画性を持って準備を進めてください。
それでは、フリーランスエンジニアになるにはどう準備したらいいのでしょうか。それには以下のような手順が必要です。
プログラミングを学ぶ
まずは学習です。何のスキルもない状態で、フリーランスとして仕事を受注することはできません。
どのくらいの時間やお金をかけられるかによって、選ぶ学習法は違ってきます。あまり時間をかけていると、学業に支障が出かねないし、大学生活などあっという間に終わってしまいます。
そこで大事になってくるのが、目標を絞り込むことです。どのような案件を受注したいかをイメージした上で学習を進めれば、無駄に手を広げすぎずにすみます。目標が明確なため、モチベーションも維持しやすくなるでしょう。
Web開発の基礎となるHTML&CSS辺りからはじめるのが、習得の容易さや案件数からいってお勧めです。もちろん意欲と時間があるならばもっと難しいことにチャレンジするのも大いにけっこうです。
学習方法としては、書籍で学ぶ、プログラミング学習サイトで学ぶ、プログラミングスクールで学ぶ、といったものがあります。学習のための費用を稼ぐためにまずアルバイトする、ということになるかもしれません。フリーランスでやっていくためには、ある程度の初期投資は必要です。
一般論として、書籍で学ぶのはあまりお金はかかりませんが挫折しやすく時間もかかりがちです。プログラミングスクールは、費用はかかりますが比較的短期間で業務レベルまでスキルを引き上げてくれます。
時間とお金という貴重な資源を、特に多くの学生にとって切実に不足しがちなお金というものをどう使うのか、重大な問題です。じっくり考えてください。しかし、結論を先延ばしにする暇はありません。
ただし、大学や学部によっては、授業でプログラミングを学べることもあります。その場合は、学習のコストがグッと下げられる可能性があります。
学習は、仕事が入ってくるようになったらやめてもいいというものではありません。エンジニアである限り、常に新しいことを吸収し続けていかなければならないことは心しておきましょう。
なお、日本の大学生は文系か理系かということを強く意識しがちですが、プログラミングを学ぶ上でそれはあまり関係ありません。誰でも学べます。大学生になれる知性があるあなたならば、もちろん大丈夫です。
ポートフォリオを作る
学習がある程度進んだ段階で、クライアント、すなわち仕事の発注者に見せるための何かを作りましょう。自分のスキルを示すのです。
例えばWeb開発系ならば、Webサイトを作るということになります。ただのサンプルでもよいですが、自分の所属するサークルのホームページなど、実際に運用されるサイトを作れれば最高ですね。
案件を獲得する
学習し、ポートフォリオを作ったら、いよいよ最初の案件獲得に乗り出します。あるいはここが、最大の関門かもしれません。
手軽なのは、「ランサーズ」や「クラウドワークス」といった、クラウドソーシングサイトに登録することです。そこにはたくさんの案件があるので、自分にできそうなもの、やりたいものを見つけて応募します。
ただ、クラウドソーシングはどうしても先行者が有利になりがちです。案件受注は他のフリーランサーとの競争になりますが、やはりすでに多くの案件を受注しているベテランが信用されやすい傾向があります。
そこで、周りの人などから直接注文を受けることも考えましょう。大学生ともなれば、同じ授業をとっている学生やサークル仲間、バイト先の人など、多くの人脈があるはずです。そういうツテをたどれば、一つや二つの仕事は得られるかもしれません。
そんなふうにして最初の仕事をすれば、それがポートフォリオに加わり、営業の材料が増えます。そうすれば、だんだんとクラウドソーシングでも案件獲得がしやすくなっていくでしょう。
学生時代の人脈は卒業後にも大いに力になってくれます。大切にしましょう。
大学生フリーランスエンジニアが守るべきこと
学生とはいえ、フリーランスエンジニアとして収入を得ているのであれば、それはもうプロです。仕事を頼むほうとしては、専業だろうが学生だろうが関係なく、ちゃんと仕事をすることを求めます。
それと同時に、やはり学生であることを忘れるべきではありません。まず学生としてやるべきことをやった上で、フリーランスエンジニアとしての仕事があるのであり、その逆ではありません。
ここでは、大学生フリーランスエンジニアが陥りがちな過ちについて、いくつかあげていきます。
学業をおろそかにしない
ともすれば忘れがちになるかもしれませんが、大学の先生はすごい人達です。長年専門の分野を追求してきたエキスパートです。
そういう方々の授業を受けられるのも、学生の間だけです。サボったりするのは実にもったいないことです。仕事の納期が迫っているときなど、そうせざるを得ないこともあるかもしれません。けれども、なるべくそうならないようなスケジュールを組みましょう。
もし単位を落として留年してしまうと、余計な授業料を払わなくてはなりません。いくら収入があるからといって、このような損失は極力避けるべきです。
企業に就職しようと思っているのであれば、卒業するのは必須です。大学中退で就職するのならば、何のために入学したかわからなくなります。フリーランスとして実績を積んでいたとしても、大抵の場合は大卒の資格のほうが強いと考えるべきでしょう。もちろん、仕事の実績と大卒、両方あればこれに勝るものはありません。
このままフリーランスとしてやっていけそうだから大学はやめる、と考える人もいるかもしれません。けれども、フリーランスだからこそ大卒の資格が物を言うこともあるのではないでしょうか。新しいクライアントとの付き合いがはじまるたびに、経歴が参照されるわけですから。
確定申告をする
フリーランスとしてやっていくなら、通常、確定申告は避けて通れません。
ただし、年間の所得金額が48万円以下の場合は、確定申告は必要ありません。基礎控除というものがあって、所得が48万円以下のときは全額控除され、所得税がかかりません。
所得が48万円を超えるフリーランスは、基本的に確定申告が必要です。
そのうち、所得金額が75万円以下の学生の場合は、勤労学生控除27万円を所得から差し引くことができます。基礎控除48万円も差し引かれるので、所得金額が75万円以下の学生フリーランスエンジニアには所得税はかかりません。
勤労学生控除を受けるためには、確定申告書の所定の個所に記入して提出します。
ここで、所得というのは報酬として受け取った金額(収入)から必要経費を差し引いたものです。必要経費としては、エンジニアの仕事に必要な物、例えばパソコンや周辺機器、技術習得のために買った書籍などの代金が認められます。
例えば、報酬として受け取った金額が年間で80万円、経費が8万円ならば、所得は
80万 ー 8万 = 72万
となり、75万円を下回るので、学生の場合は所得税がかかりません。
しかし、その場合でも、申告したほうがよいことがあります。それは、報酬から源泉徴収されている場合です。源泉徴収というのは、報酬を払う側が、その報酬の中からいくらか天引きして税務署に納付することです。確定申告をすると、その天引き分が返ってくることがあります。
所得が増えてきたら、青色申告にして最大65万円の控除を受けることを考えるといいでしょう。そうすると帳簿つけが難しくなりますが、青色申告用の会計ソフトを使えば何とかなるでしょう。
税金に関してはいろいろ難しいこともあります。国税庁のサイトを参照したり最寄りの税務署に相談するなどして、正しい情報を得てください。
参考サイト
確定申告が必要な方|国税庁
基礎控除|国税庁
勤労学生控除|国税庁
決してクライアントとトラブルを起こさない
一人でやっているフリーランスには、後ろ盾となる組織がありません。何か問題を起こしてしまった場合には、責任はすべて自分にかかってきます。極力、親に泣きついたりすることは避けねばなりません。
クライアントに何か損害を与えた場合、巨額の損害賠償を請求されてしまうこともあるのです。例えばうっかりミスでクライアントの機密情報を流出させてしまった、などということは絶対にあってはなりません。
そういう最悪の事態に陥らないまでも、小さなことの積み重ねで信頼が失われていくこともあります。連絡を素早くスムーズに行うなど、最低限のビジネスマナーは学んでおくべきでしょう。
大学生フリーランスエンジニアの進路
フリーランスエンジニアとして活躍する大学生の、「その後」はどうなっているのでしょうか。おおむね、3つの方向性が考えられます。
- 社員エンジニアになる
- エンジニアではない会社員になる
- フリーランスエンジニアになる
もちろんこのほかにもいろいろありますが、多くの人はこの3つのどれかに進むでしょう。
せっかく身につけたスキルですから、大学卒業後も活かしたいところですが、エンジニアは大学生のうちだけ、と割り切ることももちろん可能です。
それぞれ、順に見ていきましょう。
実績やスキルを活かして社員エンジニアに
最も堅実なのは、社員エンジニアになることです。収入は安定するし、身につけたスキルも役立ちます。
「大学生」であることと「フリーランスエンジニア」であることの両方を活かす進路が、開発系の会社に入ることです。最初からそれを目指して、大学生のうちにフリーランスエンジニアをやろうと計画する人もいることでしょう。
築き上げた立派な実績を示せば、即戦力として即採用、ということもあるかもしれません。そうなることを目指すことが、フリーランスエンジニアとしての大きなモチベーションになり得ます。
いったん社員エンジニアとして経験を積んだ後に、さらなるステップアップを目指して再びフリーランスに転身する、ということも大いに考えられます。
別の職種の会社員に
いったん開発の仕事からは離れて、別の職種に就く人もいます。フリーランスエンジニアはあくまで学費などを稼ぐための手段であり、目標は別にあるという人もいるでしょう。
ただ、別の道を行ったとしてもエンジニアとして働いた経験は決して無駄にはなりません。これからはあらゆる人にプログラミングのスキルが求められるようになっていくことでしょう。生産性を上げる手段として、プログラミングは幅広い職種で役に立ちます。
また、許されるならば副業として開発を続けていくこともできます。学業と両立させていた経験があれば、本業と両立させることもそれほど難しくはないでしょう。フリーランスは、副業ともよくマッチする働き方です。
フリーランスエンジニアに
大学卒業後も、引き続きフリーランスのエンジニアとして働くという道もあります。これをメインに考えている人もいるでしょう。
はじめからそれを目指していた人もいれば、フリーランスエンジニアとして仕事をするうちに面白さややりがいを感じて、続けたいと思うようになる人もいることでしょう。
この場合、人によっては別に卒業しなくても、つまり中退してもいいと考えるかもしれません。あまりに忙しくなって学業に手が回らないし、十分な収入もあるので大丈夫だというのならそういう生き方も選択肢に入れてもよいでしょう。
ただ、上でも述べたようにどうにかして卒業だけはしておいたほうが、何かと安心です。
就職活動のプレッシャーがないのはありがたいことですが、独立してやっていくことの厳しさも自覚する必要があります。学ぶことをやめれば、すぐに変化の波に飲み込まれてしまう、そういう世界です。
さらに先の将来、案件を受注するだけでなく独自のアイディアでサービスを立ち上げるという夢を描くのも面白いんじゃないでしょうか。
現実を見据えつつ夢を見る、それがフリーランスという生き方です。
まとめ
大学生時代という、人によってはのんびりと過ごしてしまいかねない時期に、プログラミングを学び、さらにそれを仕事にするというのは素晴らしいことです。もちろん、仕事であるからには学生だからといって大目に見てくれることは期待できず、フリーランスエンジニアとしての責任を全うしなければなりません。しかし、たとえ失敗してもまだまだ取り返す時間があるというのも若い学生の特権です。冒険、大いにけっこうです。