プログラミングを学んでいる人の中には、将来的にフリーランスエンジニアになりたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
フリーランスエンジニアは「ポートフォリオ」が一つの武器になります。この記事では、ポートフォリオがどのようなものか、作成するメリット、作成方法などを紹介しています。
ポートフォリオの重要性を知っておくことで、今学んでいるプログラミングをどのように将来に活かすのか考えるきっかけになります。「まずは就職して、経験を積んでからフリーランスエンジニアになりたい!」と考えている人にとっても参考になると思いますのでぜひ最後まで読んでみてください。
そもそもポートフォリオとは
そもそも「ポートフォリオ」と聞いても、いまいちピンと来ない人もいるのではないでしょうか。ポートフォリオとは、自分のスキルや制作物、職歴などを一つにまとめた資料のことを言います。
ポートフォリオを日本語に直訳すると「書類入れ」という意味になります。「書類入れ」に自分のスキル・資格・制作物・職歴を一つにまとめるイメージを持ってもらうといいかもしれません。
それでもいまいちわかりにくい…と感じる方は、ポートフォリオを企業のホームページのようなものだと思っていただくといいかもしれません。
企業のホームページには、経営理念や製品情報、会社の沿革などが載っていて、全体を見るとどのような企業なのかがわかるようになっています。
同じように、ポートフォリオは「自分がどのようなエンジニアなのか」を知ってもらうために作成します。
ポートフォリオは、就職の面接や営業の際に自分をアピールするための手段です。
ポートフォリオ作成のメリット
それでは次にポートフォリオ作成のメリットを紹介していきます。
スキルが証明できる
ポートフォリオを作成する一番のメリットは、なんといっても自分のスキルを目に見える形で証明できる点です。
エンジニアのスキルは言葉や文章だけではなかなか伝えられません。
しかし、ポートフォリオに自分が作成したアプリやコードなどの制作物を載せておけば、明確にスキルの証明ができます。
もしポートフォリオがなければ、クライアントはエンジニアにヒアリングを行って、エンジニアがクライアントにとって必要なスキルを持っているのかを確認しなければなりません。
しかし、ポートフォリオがあれば、制作物の構成や表示速度、クオリティから制作物の内面までわかるので、多くの判断材料を得られます。
ポートフォリオでスキルが証明されれば、クライアントも安心感を持ってエンジニアを採用することができるのです。
一度作って何度も提示できる
ポートフォリオは一度作成すれば、何度でも使いまわしができます。
たとえば、フリーランスのエンジニアがクラウドソーシング(企業がインターネット上で不特定多数に仕事を発注する仕組み)で案件を獲得するとき、多くのプロジェクトに応募しても、毎回同じポートフォリオを使用してスキルのアピールが可能です。
就職や転職の選考でも使いまわし可能です。
就職活動の選考でそのたびに利用できるので、忙しい期間でも効率的に就職活動を進めることができます。
ポートフォリオを作成することは、効率的に仕事を獲得するために有効な手段であることがわかります。
選考で有利
案件を獲得するための選考の際に、ポートフォリオを提出すると、選考が有利に働く点もメリットの一つです。
フリーランスエンジニアが案件を獲得する際に、面談や書類選考などの選考を受けることがあります。
企業の採用担当は、多くの応募書類に目を通さなければなりません。
そんな中、必要書類と一緒にポートフォリオが提出されていると、「他の応募者とはちがう」と採用担当に思ってもらうことができます。魅力的なポートフォリオは採用担当者に強い印象を残すことが可能です。
ポートフォリオは、他の応募者に差をつけ採用担当にアピールできる大きなチャンスになります。
ミスマッチを減らせる
仕事におけるミスマッチが減らせる点も、ポートフォリオ作成の大きなメリットです。
ポートフォリオを作成することで、クライアント側は「フリーランスエンジニアがどのようなスキルを持っているか」「予算にあった単価で仕事を引き受けてくれるのか」「仕事に必要な知識を持っているのか」などの点について、判断がしやすくなります。
複数の案件をかかえるフリーランスエンジニアにとっては、ミスマッチの案件をかかえてしまうのは仕事全般の能率低下につながることも。
フリーランスエンジニアにとっては自分に合った案件をこなすことが、効率的に働くための一つのポイント。ポートフォリオを作成してミスマッチを減らすことは、想像以上にプラスの効果があります。
ポートフォリオを作成しないデメリット
次に、ポートフォリオを作成しないことによってどのようなデメリットがあるのかを紹介していきます。
判断材料が少ない
選考の際にポートフォリオがなければ、採用担当者の判断材料が非常に少なくなってしまいます。
フリーランスエンジニアは提出書類や面接だけで、企業が求める人材であることを証明しなければなりません。
提出書類は形式が決まっていることが多いので限られたアピールしかできません。面接は緊張や時間制限のため、必ずしも満足にアピールすることができるとは限りません。
必要な情報をまとめてアピールできるポートフォリオを利用することは、企業側にとってもフリーランスエンジニアにとっても有益です。
ポートフォリオがないと面接が受けられない場合もある
ポートフォリオがないと、場合によっては面接が受けられないこともあります。
チャレンジしてみたい案件を見つけても、ポートフォリオがないことで面接が受けられなければ、せっかくのチャンスを喪失してしまいます。
案件に応募するために急いでポートフォリオを作成しても、必要な情報を適切に盛り込むことは難しいです。
仕事のチャンスを逃さないためにも、ポートフォリオを作成してフリーランスエンジニアの活動を行うことをオススメします。
ポートフォリオに載せることの例
それでは次に、どのような情報をポートフォリオに載せればよいのか、いくつかの例を紹介していきます。
ポートフォリオは必要な情報を盛り込むことも大切ですが、情報を盛り込みすぎるとかえって読みにくくなってしまうこともあるので注意が必要です。
これからあげる例を参考にして、効果的にアピールできる情報を厳選するようにしてくださいね。
プロフィール
プロフィールを載せておくことで、自分がどのような人物であるかを知ってもらえるだけでなく、自分に合った仕事の依頼が届きやすくなるメリットがあります。
具体的には
- 名前
- 年齢
- 性別
- 出身地
- 経歴(最終学歴や職歴など)
- 実績(関わったプロジェクトなど)
- スキル(保有資格、利用可能言語など)
- ブログのURLやSNSのアカウント
- 連絡先
などを載せるようにしましょう。
ただし、ポートフォリオをWeb上で公開する場合は、個人情報の扱いには注意するようにしてください。
また、連絡先は仕事の獲得につながりますので必ず載せるようにしましょう。
制作物
自分が制作したアプリやWebページなどの制作物は、なによりもわかりやすいスキルの証明になりますので、必ず載せるようにしましょう。
ただし、多くの制作物を載せれば載せるほど良いわけではありません。多く掲載しすぎてしまうと、かえって雑多な印象を与えてしまうことも。わかりやすくスキルを示せるような制作物を3つほどにとどめておくのが無難です。
案件によって掲載する制作物を変更するのも戦略のひとつです。案件に合わせた制作物を添付し、戦略的にクライアントにアピールしましょう。
制作物といっしょに次の5つの事柄も一緒に掲載しておくと、より効果的にアピールすることができます。
①制作物の概要
制作物の概要を簡潔に説明しましょう。
あくまで大切なのは制作物です。しかし、まずは制作物に興味を持ってもらえるように、説明文にこだわるのも一つのポイントです。
アピールをしたい気持ちもあり難しいところではありますが、概要は簡潔にまとめましょう。ポートフォリオの閲覧者にとっても、短文のほうが制作物を見てみたい気持ちが高まります。
②ソースコード
アプリなどの制作物をポートフォリオに掲載すると「このアプリを制作できるだけのプログラミング能力がある」という証明ができます。
自身のスキルをアピールしたいのなら、どのようなコードを書いたのかを見てもらう必要があります。
そこで「GitHub」というサービスを利用し、クライアントにコードを見てもらうようにしましょう。GitHubとは、世界中の人々がプログラミングコードを保存、公開できるソースコード管理サービスです。
他にもソースコードを公開できるサービスはありますが、GitHubは利用者数も多く、無料なのでオススメです。
③開発の動機
なぜ開発に取り組もうと思ったのか動機を一緒に記載すると、好印象を与えることができます。
ユーザーの悩みを解決したかったのか、社会貢献につなげたかったのか。エンジニアとしての人間性も一緒に伝え、相手の心をつかみましょう。
④制作期間・過程
制作物をどのくらいの期間で作成できたのかを記載するようにしましょう。
作業スピードを示すことも、立派なアピールポイントになります。
制作過程は、「自分はなにを考えて仕事に取り組んだのか」「こだわった点ははどこか」「工夫した点はなにか」を示すようにしましょう。
こちらも技術とともに人間性をアピールするように心がけるとよいでしょう。
⑤使用したソフト
制作物作成に使用したソフトも一緒に記載すると、より明確なスキルの証明が可能です。
やりたいこと
ポートフォリオ作成において、実績をアピールするだけではもったいないです。
仕事の幅を広げたいのなら、ぜひ「これから自分がやってみたい仕事」もポートフォリオに掲載するようにしましょう。
やってみたい仕事を具体的に記載することで、仕事が獲得できるチャンスも高まります。
フリーランスエンジニアとして活躍していきたいのなら、やったことのない仕事でも挑戦し、自ら道を切り開いていく選択も大切です。
料金
「どのようなサービスに対してどれくらいの料金で仕事を行うのか」がわかるような料金表を添付しておきましょう。
クライアントにとって、料金は最も重要な確認事項の一つです。
料金表があれば、クライアントは「予算に合った単価で仕事を引き受けてくれるのか」が想像しやすくなりますよね。
互いに値段交渉の手間が省け、料金における契約後のトラブルが起きにくいでしょう。
しかし、単価に関係なく挑戦してみたい案件であったり、クライアントと相談しながら料金を決める場合もあります。
ケースによって、料金表をポートフォリオに掲載するかどうか判断するようにしましょう。
ポートフォリオ作成のポイント
ポートフォリオを作成する際の、具体的なポイントを紹介していきます。
実績公開の許可を得たものを載せる
クライアントから依頼されて作成したアプリなどの制作物は、基本的にクライアントの所有物になります。
もし、許可なく自身のポートフォリオに公開してしまった場合、無断転載と判断されてトラブルに発展する可能性も。
実績としてポートフォリオに制作物を載せたい場合は必ずクライアントからの許可を得るようにしましょう。
見る人のことを考える
ポートフォリオを作成するときは、見る人のことを第一に考えましょう。
クライアントに強い印象を残すために、ポートフォリオのデザインにこだわることは決して悪いことではありません。
しかし、なによりも大切な「わかりやすさ」を重視するために、以下の点を心がけてみてください。
- フォントのサイズは読みやすいものか。
- コードは整っているか。(インデントはそろっているか。一つのソースコードが長すぎないか。)
- 必要な情報が厳選されて盛り込まれているか。
- クライアントの中にはITに疎い人もいるので、必要に応じて難しい専門用語には補足をつけて解説をしているか。
- ページスピードは重くないか
これらのことを意識するだけで、ポートフォリオのわかりやすさが増します。親切な印象を与えるので、仕事の獲得につながりやすいです。
特にコードにおいては、チームで開発を行うような場合、他の人にも簡単に理解しやすいようなものが好まれますので「わかりやすさ」を大切にしてください。
ポートフォリオを「見る側」の立場になって、ポートフォリオを作成するようにしましょう。
情報は新しいものを随時更新していく
ポートフォリオの情報は随時更新していきましょう。
ポートフォリオの情報が古いものばかりだと、クライアントに「このエンジニアは現在活動を行っていないのではないか?」と思われてしまうおそれがあります。そのせいで、せっかくの仕事獲得のチャンスを逃してしまうのは非常にもったいないです。
スキルが高まったことを証明できるような制作物を新たに作成したり、注目度の高いプロジェクトに関わったら、ポートフォリオを更新するくせをつけましょう。
情報をその都度更新しているエンジニアは、「たくさんの仕事をこなしている=人気」という印象をクライアントに与えます。
あなたがクライアントなら、たくさんの依頼が来る人気のエンジニアに仕事を依頼したいと思うはずです。
添削してもらう
ポートフォリオを作り終えたら、一度添削してもらうことをオススメします。
エンジニアの先輩や、通っているプログラミングスクールの先生等にポートフォリオを添削してもらえないか頼んでみましょう。
ポートフォリオを見る側の立場で考えるように努めても、自分一人の頭では限界があるものです。第三者の目で確認してもらうと、新たな気付きを得ることができます。
欠点を改善し、より質の高いポートフォリオを作成するようにしましょう。
ポートフォリオの作り方
それでは今まで説明してきた事柄をふまえて、ポートフォリオの具体的な作り方をまとめていきます。
STEP1 ポートフォリオに掲載するための制作物を作成する
まず、ポートフォリオ全体の枠組みを考えるのではなく、ポートフォリオに掲載するためのアプリやプログラムなどの制作物を作成しましょう。
その際には、ポートフォリオに掲載することを考えて
- 開発の動機
- 自分はなにを考えて仕事に取り組んだのか
- こだわった点はどこか
- 工夫した点はなにか
などの点を意識しながら制作するとよいですね。
STEP2 伝えたいことを書き出し、まとめていく
次にポートフォリオになにを掲載するかを考えていきます。
「自分が伝えたいことはなにか」「プロフィールでアピールしたい点はどこか」などをあまり深く考えずに、紙やパワーポイントに書き出してみてください。
その際は、上記の「ポートフォリオに載せることの例」や「ポートフォリオ作成のポイント」を参考にしてみてください。
目に見える形に変換することによって、まとまりのない考えをすっきり整理させることができます。
思考を整理させるためにオススメなのがマインドマップを作成することです。
マインドマップとは、ひとつのキーワードから関連付けられる情報を、放射線状に思いつく限り書き出していく手法です。マインドマップは紙や無料のソフト、アプリでも作成することが可能です。
情報を整理できるだけでなく、自らをアピールするための新たなアイディアを生み出しやすくなります。
STEP3 まとめた情報を公開する
ポートフォリオを公開する方法は決まっていません。
WordやPowerPointでポートフォリオを作成して応募書類と一緒に添付するやり方をとる人もいれば、面談時にポートフォリオを印刷したものを提示する人もいます。
クライアントや企業の採用担当者が必要な情報にアクセスしやすいように、Web上でポートフォリオを公開することをオススメします。
自らサーバーを立ち上げてポートフォリオを作成できれば、それだけでスキルの証明ができますよね。フロントエンドエンジニア(Webサイト開発において利用者への表示などを担当するエンジニア)でしたら、サーバーを立ち上げてポートフォリオを作成しましょう。
とはいえ、それ以外のエンジニアにとって、一からサーバーを立ち上げてポートフォリオを作成するのはなかなか大変です。
そこで、次章で手軽にポートフォリオを作成できるサービスを紹介していきます。
ポートフォリオ作成に便利なサービス
それではポートフォリオ作成に便利なサービスを紹介していきますね。
ペライチ
ペライチはホームページ作成サービスです。
有料プランもありますが、ポートフォリオ作成のみでしたら、無料プランでも質の高いものが作れます。
オススメな理由は、テンプレートで作成した場合、自動でスマートフォンのブラウザに最適化されるからです。
フリーランスのエンジニアにとって、どこにビジネスのチャンスが転がっているかはわかりません。
仕事につながりそうな出会いがあったときに、スマートフォンでポートフォリオを提示できるのは非常に便利です。
Jimdo
Jimdo(ジンドゥー)も無料で利用できるホームページ作成サービスです。有料プランも非常に良心的です。
特徴はなんといっても、AI(人工知能)を使ったホームページ作成。この機能を使えばあっという間にホームページを作成できます。
操作は直感的に行えて非常に簡単です。美しいデザインのテンプレートの中から自分好みのデザインを選んで、統一感のあるポートフォリオが作成可能です。
メディアライブラリと大容量ストレージが利用できるため、たくさんの制作物をポートフォリオに載せたいと考えている人にオススメです。
まとめ
今回はフリーランスエンジニアを目指している人に向けて、ポートフォリオについて解説していきました。
ポートフォリオは、仕事を獲得するための強力な武器であることがわかっていただけたのではないでしょうか。
もし、あなたがプログラミングを学んでいる途中だとしたら、今は武器の部品を作っている段階だと言えます。ポートフォリオに掲載できる魅力的な制作物を作成してみてください。
どうしたら強力な武器を作れるのか、仕事が獲得できるような良質なポートフォリオを作れるのか。上記の記事を参考にして考えてみていただけたら幸いです。