パソコンの黄金時代も今は昔、スマホ全盛の時代にあって、キーボードに親しんでいない人も増えているようです。
プログラミングを始めたのはいいけれど、タイピングが遅くてなかなか進まない、という方に朗報があります。
タイピングは、きちんと学習ノウハウが確立した、誰にでも身につく技術です。
ちょっとした心理的な壁さえ乗り越えれば、かっこいいタッチタイピングがきっとできますよ!
プログラミングでタイピングは重要?
読者のみなさんの中には、「プログラミングって何?」「タイピングってそんなに重要なの?」という方もいらっしゃるでしょう。
そこでまずは、これらの疑問にお答えしていきます。
プログラミングとは
プログラミングとは、コンピュータに出す指示を記述することです。
人間は「考えること」ができるため、曖昧な指示でも意図を汲み取ることができる一方で、コンピュータはそうはいきません。コンピュータは一つ一つ厳密に指示されてやっと指示通りに動きます。
そのため、少しでも間違えた指示を送ると、コンピュータはエラーを発生させてしまいます。このようなコンピュータに厳密な指示を作ることをプログラミングと言います。
プログラミングについて、こちらの記事で詳しく説明していますので、ぜひ興味のある方は参考にしてみてください。
タイピングって重要?
プログラミングにおいて、タイピングは非常に重要です。主な理由として、二点挙げられます。
一点目は、タイピングの速度が上がることで、より早くプログラムを作成することができる点です。一つのプログラムを作成するのには多大な時間を要します。一方で、多くのプログラミングの仕事には期限が存在します。そのため、タイピングが遅いと、期限内に納品することが出来なくなってしまいます。
二点目は、タイピングの正確さが高まることで、効率よくプログラムが作成できる点です。プログラミングは少しでも記述にミスがあるとエラーになってしまいます。そのため、早くても正確なタイピングができないと、記述ミスが増え、エラーの対処に多くの時間が取られてしまいます。結果的に、プログラム完成に時間が掛かってしまうのです。
タイピングを上達させるために意識すべきこと
タイピングの上達とは、何でしょうか。
物差しはただひとつ、「時間」です。打ちたいことを打ち切るまでの時間が短くなること、これがすなわちタイピングの上達です。
大事なのは、間違いの修正時間も含めた全体の時間で考えることです。見せかけの速さにとらわれてはいけません。
以下のような点を心にとめて、時間短縮を目指しましょう。
タッチタイピングを意識する
タッチタイピングとは、キーボードを見ないで打つことです。
手元とモニター画面の間で視線を往復させると、その間手が止まり、タイピングが遅くなります。ずっとキーボードだけを見て打てればいいのですが、そうはいきません。ちゃんと打てたかどうか確かめるには、画面を見る必要があります。画面だけが、正しく打てたかどうか教えてくれるのです。
目は画面を見っぱなしで、手はキーボードの上を動きっぱなし、これが速いタイピングの基本です。
これを実現するためには、手がキーの位置を覚えなければなりません。そのためには練習が必要です(練習方法については後述します)。
練習段階から、とにかく絶対に手元を「見ないで」打つことを強く意識しましょう。いや、自分に「強制」しましょう。
タッチタイピングは、指の感覚でキーボードを打つことです。体で覚えるものです。目に頼っていては、いつまでたっても体で覚えることはできません。
覚えるまでは、逆にタイピングが遅くなってしまうでしょう。かなりのストレスでしょう。しかしそれはそんなに長い間のことではありません。とにかく我慢して、手元を「見ずに」打つのです。
まずは正確さ、次にスピード
タイプミスは、スピードを減ずる大きな要因です。
「あ、間違えた」と気付いてその場で修正すれば、間違えた文字とバックスペースキーの、少なくとも2ストローク分の時間を損します。何文字か行き過ぎてから気付いた場合は、カーソルを移動するためさらにロスします。
最悪なのはタイプミスに気付かず残ってしまった場合で、実行時にエラーが出て飛び上がります。原因はタイプミスなのか、だとすればどこをミスっているのか、などと探っているうちにベラボーな時間を失うこともあります。
タッチタイプに慣れてくると、調子に乗ってどんどん速く打ち、タイプミスを量産すことがあります。自分では速く打っているつもりのため、結局余計に時間がかかっていることに気付かない恐れもあります。
タイプミスが多いということは、自分の限界を超えたスピードで打っている証拠かも知れません。ミスなく、ゆっくりと打つことを心がけましょう。ギアを上げるのは、ミスがなくなってからで十分です。
第一優先は正確さ、その次にスピードです。
とにかくたくさんのコードを書く
使用するプログラミング言語が決まっているなら、その言語でたくさんのコードを書くのが最もよい練習になります。
プログラミング言語にはそれぞれ、予約語とかライブラリ内のメソッドといった、よく使われる単語があります。
同じ言語でずっとコーディングしていると、そういった単語を何度も打ち込むことになり、だんだんと自動的に打てるようになってきます。いわば「手の語彙」が増えていくのです。
タイピングは運動です。何度も同じ動作を繰り返すことにより、身についていきます。
休憩をとる
タイピングは意外とハードな筋肉運動です。スポーツと同じように、やりすぎるとケガをします。
普段あまり使わない筋肉を激しく使うので、はじめのうちはすぐに疲労を感じるでしょう。疲れたと思ったら、積極的に休んでください。
はやく上達したいと焦る気持ちはわかりますが、故障してしまっては学習は大幅に遅れます。
プログラミング+タイピングの練習サイト
タイピングをゲーム感覚で練習できるサイトがいくつもあります。点数や評価が出るのでやる気がアップします。現在の実力をはかるのにもよいでしょう。
プログラミング言語を使って練習するサイトもあります。タイピング練習をしながら、あるプログラミング言語のキーワードや構文に親しむことができます。
ここではその中から2つ紹介します。
PTYPING
PTYPINGは、プログラミング言語で使われる単語を練習できるサイトです。
言語を選択しレッスンを開始すると、その言語で使われるキーワード類が次々と画面に表示されます。それを、素早くタイプします。
制限時間の60秒が過ぎると、結果が表示されます。タイプ数やタイプミス数、そしてA、B、Cなどの判定が出ます。タイプミスがあると、大きめに点数が引かれるようになっています。正確さが重視されます。
練習画面の下半分にキーボードが表示されていて、次に打つべきキーが色づけされます。キーの位置を完全には覚えていなくても、手元を見ずに打つことができます。
SppedCoder
SpeedCoderでは、一連のソースコードを使ってタイピング練習します。
言語を選択すると、その言語で書かれたソースコードが画面に表示されます。それを、スペースや改行も含めそのままタイプします。
最後まで打ち終わると、タイピングスピードや正解率、どの文字を特に間違えたかといった結果が表示されます。
やっていると、自分がまさにその言語でプログラミングしているかのような気になれます。かなりリアルな演習スタイルです。
ここでもまた、画面下半分がキーボードになっていて、次に打つべきキーが色づけされます。ここではさらに、手のイラストも添えられていて、どの指で打つか、ということが表示されます。タッチタイプの習得を助けてくれます。
さらに、自分でコードをアップロードしてオリジナルのレッスンを作ることもできます。長くつき合うことのできるサイトです。
プログラミングには関係ないがおすすめのタイピング練習サイト
タイピングは、プログラミングのためだけのもではありません。日本語や英語を打つ練習をしておけば、この先なにかと役に立つでしょう。
ここでは、数ある練習サイトの中から3つをご紹介します。
寿司打
寿司打は、練習サイトというよりはタイピングを使ったおもしろゲームです。
回転寿司のお皿が流れてくるとともに日本語の単語が表示されるので、それを素早くタイプします。
難易度によってお皿の値段が決まっていて、終了後にいくらぶんのお皿を取ったか、という形で成績が出ます。正しく打ったキーの数、毎秒の平均タイプ数、ミスタイプの数といった数値も表示されます。
ランキングなどもあって、かなりも燃えます。やり過ぎて体をこわさないように注意しましょう。
Typing Tube(タイピングチューブ)
Tyhping Tubeは、「歌詞でタイピング練習」というコンセプトのサイトです。
アニメソングやJ-POPなどの歌の動画が流れ、その下に歌詞が出ます。それを、歌に合わせてタイピングしていきます。ある行を歌い始めてから入力可能になり、歌い終わるまでにその行を打ち込まなければなりません。
曲が最後まで終わると、点数と共にミスの回数や正しく入力できた率、最後まで入力できた行数などが表示されます。
歌好きにはとても楽しいサイトです。ただ、かなり難しいです。スローな曲でも、初見ではついていくのが大変です。歌詞を覚えてからが本番という感じがします。カラオケなどで歌い込んでいる人向けでしょうか。
プレイグラムタイピング
次にご紹介するのは、プレイグラムタイピングです。
タッチタイピングをこれから覚えるなら、まずはここから、というくらいおすすめのサイトです。
「基礎練習」では、日本語のローマ字入力を基礎からマスターできます。ホームポジションを覚えるところから始まって、あ行からだんだんと打つのが難しい行へとステップアップしていきます。
小さな課題をこなすごとに、星3つのS判定を最高とする評価が出ます。ミスの数や速度も出ます。
課題の下にはやはりキーボード画面が出てガイドしてくれます。秀逸なのは、手がどういう形でどのキーを押すのか、ということがちゃんとイラストでわかるようになっていることです。迷ったらこの手の形を真似すれ大丈夫です。
日本語のローマ字入力に関係のないキーの練習は一切省かれているため、短時間でマスターすることができます。
TypingClub
最後にTypingClubを紹介します。これは今回イチオシのサイトです。
TypingClubは英語のタイピングの練習サイトです。もちろんすべてのキーを使います。プログラムのコードの中で使う単語は、ほとんど英語を元にしています。プログラミングをするなら、英語タイピングはぜひとも身につけたい技能です。
進め方はプレイグラムタイピングに似ています。短い課題をこなすごとに、5つ星を最高とする評価が出ます。クリアするごとに、だんだんと押しづらいキーの練習に取り組むようになっていきます。キーボードと手のイラストによる、指使いのガイドもあります。
ホームポジションからはじまり、すべてのキーを練習するので、プレイグラムタイピングよりはずっと時間がかかります。
しかし各レッスンは短く、クリアするのも難しくないので、どんどん先に進みたくなります。途中ちょっとしたゲームがはさまって気分転換になります。
ちょっと疲れたな、というような頃にアニメ動画がはじまり、休憩のタイミングを作ってくれます。動画で紹介されるタイピングのノウハウやうんちくはためになります。
課題や解説文や動画はすべて英語なのですが、そんなに難しいものではありません。プログラマーにとって英語力は大事なので、腕試しをかねて挑戦してみてください。
タイピング力向上をサポートしてくれるアイテム
最後に、タイピング力向上をサポートしてくれるアイテムを紹介します。
タイピング練習の気合を入れるためにも、これらを新調してみてもいいかもしれません。
キーボード
「今使っているキーボード、打ちにくいな」と感じることはありませんか。
このように感じる方は、キーボードを新しくしてみてはいかがでしょうか。キーボードは全て構造が同じというわけではなく、キーボードごとにキーを押し込んだ時の深さが違ったり、隣のキーとの距離が違ったりしています。
そのため、自分が打ちやすいキーボードを使うことでタイピング力が向上することがあります。市販のキーボードの多くが有線や無線タイプで、今使っているパソコンに接続して使用できるはずです。
椅子
タイピングにおいて、姿勢と手の高さはとても大切です。
例えば、椅子の高さが低かったり、姿勢が悪かったりして、手の高さが低いとキーボードを叩きにくくなってしまいます。また、姿勢が悪いと腰痛などを起こし、長時間のタイピングに耐えられなくなります。
そのため、適切な姿勢と手の高さを維持することが、タイピング力向上につながるのです。姿勢や手の高さを意識して、自分に合った椅子を見つけることが大切です。
パソコン用のディスプレイ
ディスプレイを使うことで、タイピング力向上が期待できます。
ディスプレイを使用することで、自然とパソコンの画面から視線が外れるようになります。その結果、キーボードを見ないでタイピングをしようとするようになるのです。また、ディスプレイは画面が大きいものが多いので、タイピングのミスを減らすことにつながります。
そのため、ディスプレイを使用しているうちにタイピング力の向上につながっていくのです。
まとめ
タイピング練習で一番大事なことは、「キーボードを見ないこと」です。ここで紹介したサイトで練習するときも、それは絶対に守ってください。
最後に学習の順番の一例を示します。
- プレイグラムタイピングでローマ字入力のタッチタイプを覚える
- 寿司打やTyping Tubeでローマ字入力を磨く
- TypingClubで英語のタッチタイプを覚える
- PTYPINGやSpeedCoderでプログラミンのタイピングを鍛える