この記事を読んでいる方の多くが、「これからエンジニアとしてどのようなキャリアを築いていくのか分からない」や「エンジニアとして将来が不安」という気持ちなのではないでしょうか。
これらの不安は、キャリアパスを明確に設定することで解消することが多いです。
この記事では、キャリアパスの適切な設定方法からキャリアパスの例を職種別にも紹介しています。また、具体的なキャリアパスの例を用いて、どのようにキャリアパスを立てるのか解説しています。
この記事を読めば、きっと自分に合ったキャリアパスが立てられるようになるはずです。
エンジニアのキャリアパスとは?
理想のエンジニアになるためには、考えることになるであろう「キャリアパス」。ここでは、エンジニアのキャリアパスについて深ぼって説明していきます。
キャリアパスの多様化
エンジニアにとって、キャリアパスは多様化しています。
以前まで、エンジニアのキャリアパスといえば「プログラマー→システムエンジニア→プロジェクトリーダー→プロジェクトマネージャー」という流れが一般的でした。つまり、キャリアパスは上流工程を担当するということと同じ意味を持っていたのです。
しかし現代において、キャリアパスの意味は上流工程に関わるだけではありません。ITコンサルを目指したりITスペシャリストを目指したり、エンジニアにとってキャリアパスは多種多様です。また、さらにIT業界が発展していけば、今よりも多くの様々な場面でITエンジニアが求められていくことでしょう。
トレンドが変化を続けている
IT業界はまだ新しい業界であり、日々進化を続けています。
そのため、10年前では当たり前だったことがもう全くつかわれていなかったり、新たに出現した分野の需要が急激に高まっていたりします。例えば、従来、エンジニアと言えばシステム開発の保守や運用を担当している人がほとんどでした。一方で、現在はビッグデータやAIを扱えるエンジニアの需要が高まってきています。
ここからも分かる通り、キャリアパスを考えるうえで、業界のトレンドを考えることは非常に大切といえます。ただ、将来性があるのかどうかを考えすぎて、ただ不安になってしまうという方も多く見かけるので、あまり深く考えすぎないようにしましょう。
エンジニアがキャリアパスを考えるメリット
ここでは、なぜエンジニアがキャリアパスを考えるべきなのかを紹介していきます。
現状を理解できる
キャリアパスを考える中で今一度、自身のエンジニアとしての現状を整理することができます。
エンジニアの方の中でも、今自分がどのレベル感のエンジニアで、周りからどんな評価が得られるエンジニアなのかを意識しながら働いている方は少ないのではないでしょうか。
現状を今一度理解することで、例えば違う会社に転職すればもっと良い評価が得られるということもあるかもしれません。また、自分が全然考えていなかった道や将来が見えてくることがあります。
キャリアパスを定期的に考え、自分の現状を理解することが、将来をより良くできる方法とも言えます。
必要なスキルや経験がわかる
キャリアパスを定めることができれば、その目標に向けて行動することができるようになります。
「自分のエンジニアとしての知識や経験は足りているのか?」「足りていないのであれば、どうやって身に付けていくか?」など、今後やるべきことが明確になっていきます。
ここまで明確になれば、あとは実行に移していくだけです。
将来性を高められる
キャリアパスを考えることで、自分に合った将来が明確に描けるようになります。
何も考えずにただエンジニアとしての業務を続けている人と比べて、スキルアップやキャリアアップへの動きが活発になるので、自身の将来性を高めることができるのです。
将来性を高めるためにも、キャリアパスをしっかりと定め、それを意識しながら行動するとも言えます。
年収を上げやすくなる
キャリアパスを考えることで、年収の高い職に付ける可能性が高くなります。
なぜなら、キャリアパスは一般的に、年々役職が高くなっていくように立てるはずだからです。キャリアパス通りに進んでいれば、年収は上がっていく可能性が高いです。ただ、これはスキルや知識、経験をしっかりと身に付ける努力をし、自分の価値を高められていることが前提です。
年収を上げていきたいという方は、しっかりキャリアパスを描き、どのように上げていくかを考えておきましょう。
転職がしやすくなる
キャリアパスを考えることで、自分のやりたいことや目指す姿が明確になるため、転職がしやすくなります。
将来がきちんと描けていれば、そのために今まで何をしてきたのかやなぜ転職したいのかが明確になります。そのため、転職する理由の説得力がとても強いのです。また、こういった点を採用担当は非常に重要視します。スキルや経験があっても、ただ年収を上げたいからといった理由で転職した人は、すぐにやめてしまう可能性が高いからです。
ぜひ、転職も考えながら、キャリアパスを考えてみてください。
目標別エンジニアのキャリアパス
ここでは、どのようなエンジニアを目指していくべきか、具体的なエンジニア像を紹介します。ぜひ目標を決める際の参考にしてみてください。
スペシャリストを目指す
スペシャリストとは、特定の分野や言語に精通している方のことを指します。高い専門性を身に付けることで、「テックリード」や「CTO」といった企業内でも特に地位の高い役職に就くことができます。
ただ、スペシャリストを目指す人も、幅広いIT知識を持っていれば、多角的に業務をみたり、アイディアを生むことができるので重宝される人材になれます。
ゼネラリストを目指す
ゼネラリストとは、幅広い言語や分野の知識やスキルを身に付けているエンジニアのことを指します。
複数の言語の分野をカバーできていれば、開発を一気通貫して担当することができるので、「プロジェクトリーダー」や「プロジェクトマネージャー」といった役職に就くことができます。
様々な言語や分野の知識を身に付けたり、実績や経験を積むのは大変です。ただ、ゼネラリストになることができれば、仕事や業務の幅を広げていくことができます。
マネージャーを目指す
マネージャーはチームをまとめる管理職のことを指します。
新たなエンジニアの採用や評価、プロジェクトの進行など、チームにまつわるマネジメントを業務の主としています。具体的には「エンジニアリングマネージャー」とも呼ばれます。
マネージャーはプログラミングのような技術的な部分はあまり担当しません。そのため、コミュニケーション力や管理能力といったスキルが重視されます。
フリーランスを目指す
フリーランスは、どこかの企業に属さずに、個人事業主として案件を受け、報酬を得る働き方です。
昨今、フリーランスの自由な働き方や年収の高さが注目され始めており、フリーランスエンジニアの数も増えています。また、国としてもフリーランスの数を増やしたり、働き方を安定させようと様々な施策を行っています。
フリーランスエンジニアを目指すためには、開発の経験や営業力、スケジュール管理能力が必要になります。今後ますますその数は増えていく可能性は高いので、注目の働き方と言えるでしょう。
こちらの記事で、どうすればフリーランスエンジニアになれるのかについて紹介しています。フリーランスエンジニアに興味のある方はぜひ参考にしてみて下さい。
起業を目指す
プログラミングスキルを身に付ければ、自らサービスを生み出し、起業することもできます。
企業にはプログラミングスキル以外にも、経営などの高度な知識が必要になります。一方で、世の中にはまだまだ課題はたくさんあるため、これらを解決できるサービスを生み出すことができれば、大きなやりがいと収入を得られるはずです。
キャリアチェンジを目指す
プログラミングスキルを身に付けたからと言って、必ずしもエンジニアになる必要はありません。
例えば、ITの知識やプログラミングスキルを活かして、デジタル化を進めている会社へのコンサルタント業務を行ったり、ITと関係の強いマーケティング領域に踏み出すことも考えられます。
自分のやりたいこととプログラミングを掛け合わせて新たに仕事を生み出すこともできるでしょう。
エンジニアのキャリアパスを実現する手順
ここでは、キャリアパスを設定するために何をすべきかを解説していきます。
STEP1.自分の方向性を決める
まずは、自分の方向性を定めましょう。
自分が目指す姿は「スペシャリスト」なのか、「ゼネラリスト」なのかなどを初めに決めておきましょう。この際に、自己分析をしっかりすることをお薦めします。
自分はどれくらいの年収を得たいのかやどんな強みや弱みがあるのか、どんな知識や経験が現状あるのかなどを考えるのです。これをすることによって、やりたいことと目指す姿とのミスマッチが減ります。
方向性が違っていると、この先のSTEPを決めても全て自分には合わないものになってしまうので、ぜひじっくり考えてみてください。
STEP2.自分のスキルや知識を棚卸しする
将来に向けて、何が足りないのか・何が必要なのかを明確にするためにも、現時点でのスキルや経験、知識をしっかり整理しておきましょう。
この際に、これらをしっかり言語化できるように意識すると、今後必要なものが自然と見えてくるはずです。
STEP3.キャリアのゴールを決める
ここで、どのような業界や企業規模、役職などに就きたいかといった具体的なキャリアのゴールを立てましょう。
具体的には、toC(消費者向け)の企業に勤めたいのか、toB(企業向け)の企業に勤めたいのかなどです。また、具体的にどのようなスキルや知識があれば、目指すゴールに到達できるのかまで考えられれば十分でしょう。
STEP4.キャリアパス実現までの計画を立てる
ここまで決まれば、後はゴール達成のためにいつまでに何をするかを考えていきましょう。
ここで大事なのは、細かいことを気にしすぎないことです。なぜなら、何十年後も先のことを正確に予測することは難しいためです。キャリアパスは定期的に考え直し、更新していくことが望ましいと言えます。
将来に向けて、自分は直近何をしていくのかを具体的にし、実際に行動に移していきましょう。
職種別のキャリアパスを紹介
ここでは、職種別にキャリアパスを紹介していきます。
システムエンジニアの場合
システムエンジニアとは、クライアントの要望に沿ったシステムの構築を行うエンジニアです。
このような開発の経験を活かせば、開発ディレクターやプロジェクトマネージャーといったマネージャーを目指すことができます。また、企業向けにシステム構築のコンサルティング業務を行うことも可能でしょう。
アプリケーションエンジニアの場合
アプリケーションエンジニアは、パソコンやスマートフォン向けのアプリケーションを開発するエンジニアです。
アプリケーションエンジニアは、使用できる言語を増やすことで、すべてのアプリケーション開発に対応できるエンジニアになることができます。また、スペシャリストとして、特定の言語のアプリケーション開発を指揮するマネージャーになる人も多いです。
ネットワークエンジニアの場合
ネットワークエンジニアとは、ネットワークの設計や構築を行うエンジニアのことを指します。
社外に情報を漏らさないためにも、今後社内に独自のネットワークを構築する企業は増えていくと考えられます。そこで、要件定義やシステム構築のスキル・経験を磨くことで、スペシャリストを目指したり、導入をサポートするコンサルタント・フリーランスを目指すことができるでしょう。
Webエンジニアの場合
Webエンジニアは、Webアプリケーション開発などを行うエンジニアです。
Webエンジニアの需要は高く、Web系のスペシャリストとして活躍する人やWeb以外の分野とWeb系開発の領域で活躍するゼネラリストなど、その活躍の幅はとても広いと言えます。
また、Webエンジニアは、Web系案件の数の多さや将来性の面から見ても、フリーランスという働き方に特に向いていると言えます。
こちらの記事で、Webエンジニアについて詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみください。
セールスエンジニアの場合
セールスエンジニアとは、エンジニアとしての知識や経験を活かして、営業をサポートする仕事です。
セールスエンジニアは、自身が担当している他の業界や分野、言語にも対応することで、その活躍のフィールドを広げることができます。また、営業としてのスキルを伸ばすことで、より重宝されるセールスエンジニアになることができます。
未経験からエンジニアのキャリアパスを実現するモデルケース
ここでは、未経験から実際に設定したキャリアパスの一例を紹介します。ここでは、まずは就職し、40歳頃からフリーランスのWebエンジニアになりたいという方のモデルケースです。
未経験からエンジニアとして就職
まずは、Webエンジニアとしての経験や知識を身に付けるために、Web開発会社に就職をします。
未経験からWebエンジニアとして就職するためには、しっかりとした志望動機などを作ることはもちろんのこと、自身が作ったポートフォリオや開発実績が重要視されます。特に、開発実績があれば、高い評価を受けることができるので、より自分の思ったキャリアパスを描けるでしょう。
もちろんプログラミングは独学でも十分に習得可能です。ただ、未経験から就職を本気で目指すのであれば、プログラミングスクールに通うという選択肢も視野に入れることにします。
キャリアアップを目的として転職
一度就職したら、より大規模な開発や他の業界を経験し、Webエンジニアとしての専門性を高めるために、転職を考えています。
同じ会社で経験を積むのも良いものの、色々な経験が積めないというデメリットがあります。また、将来フリーランスとして働くのであれば、色々な業界での開発を経験しておくのは大きな強みとなります。
スペシャリストとしてスキルを磨く
そして、Webエンジニアとしての経験や知識が十分に身に付いてきたら、マネジメントなどのスキルも磨き、Webエンジニアのスペシャリストを目指していきます。
フリーランスのWebエンジニアの案件は、スポットで入ってほしいというものから、プロジェクトマネージャーをお願いしたいといったものまで多様です。そのため、スペシャリストを目指すことは、非常に懸命な判断と言えるでしょう。
フリーランスエンジニアとして独立
そして、十分な経験を積んだら、ついにフリーランスエンジニアとして独立します。
企業で働いてた頃のコネクションなどを使い、営業活動を行っています。ただ、これだけのWebエンジニアとしての専門性と経験があれば、案件を受注するのはそう難しくないはずです。
まとめ
この記事では、エンジニアのキャリアパスについて解説してきました。
自分の理想のエンジニア像は多くの人が持っていると思います。しかし、ただ持っているだけでは勿体ないです。キャリアパスをしっかりと考え、ぜひ実現に向けて動き出してみてください。
また、エンジニアのキャリアパスは多様化していますので、ぜひこれをいい機会に自身のキャリアパスを描いてみてはいかがでしょうか。