今脚光を浴びている働き方の1つに「フリーランス」があります。
フリーランスというと「個人事業主」として開業をし、自分の力でお金を稼いでいく働き方。
そんなフリーランスになりやすい職業の1つが「ITエンジニア」です。
今回の記事では、フリーランスエンジニアになるためには、どんな準備が必要なのか?その準備はどのように行えばいいのか?ということについて、詳しく解説していきます。
この記事を読んで、フリーランスエンジニアの準備について徹底的に理解していきましょう。
フリーランスエンジニアになるにはどうして準備が必要なのか?
フリーランスエンジニアになるためには、ある程度の準備が必要です。
それには、以下のような理由があります。
- 急に退職をすると会社にも迷惑がかかるから
- 収入が滞ってしまう恐れがあるから
- 請け負った仕事を処理できないから
- フリーランスになると信用力が落ちるから
- フリーランスは確定申告を自分で行わなければいけないから
フリーランスになることは、税務署に行って「開業届」を出すだけですぐにでもなれますが、その他に準備をしておいたほうが良いことが沢山あるのです。
では、こういった理由を全て解消するために、フリーランスエンジニアになろうとしているあなたが準備するべきことを次項で見ていきましょう。
フリーランスエンジニアが準備するべきこと
それでは、フリーランスエンジニアになろうとしている人が、事前に準備するべきことを確認していきます。
まずは、一覧にしてみました。
- 独立した際に必要な環境を整える
- 個人のウェブサイトやSNS
- 名刺
- 会計ソフト
- 人脈作り
- クレジットカードの作成
- 国民年金、健康保険の勉強
- ローンが必要な場合は契約
こういったことを、フリーランスエンジニアになる前に準備をしておくべきです。
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
独立した際に必要な環境を整える
1つ目は「独立した際に必要な環境を準備すること」です。
フリーランスとして独立した後は、請け負った仕事を処理するための作業場所が必要になります。
多くの人は「自宅兼事務所」とされるでしょうが、自宅に作業するスペースが無ければシェアオフィスなどを借りる必要があります。
自宅を事務所にできるのであれば、新たに家賃が発生することはないため、非常にリーズナブルに開業をすることが出来るでしょう。
新たに事務所を借りてしまうと、月々の固定費が上がってしまうので注意が必要です。
その他、業務に使用するための「パソコン」や「デスク」の準備も必須です。
会社員時代に使っていたパソコンをそのまま使ってもいいですし、エンジニア業務を行うのにもっとスペックの高いパソコンが必要なのであれば、新たに購入してもいいでしょう。
またエンジニア業務を自宅で行うのであれば、長時間作業がしやすいデスクとイスを準備することも必須です。
パソコンと併せて、事前に準備することを忘れないようにして下さい。
個人のウェブサイトやSNS
準備することの2つ目は「個人のウェブサイトやSNS」です。
オンライン化がこれだけ進んだ現代社会では、個人のウェブサイトやSNSを持っておくことは必須となっています。
個人のウェブサイトやSNSを使ってあなたの魅力をアピールすることは、営業活動の一環になるからです。
ウェブサイトやブログ、SNSでのあなたの発信を見て、仕事を依頼したいと言ってくるクライアントも少なくないでしょう。
また、ITエンジニアであれば個人のウェブサイトをきれいに作り込んで、ポートフォリオのようにクライアントに見せることも可能です。
ポートフォリオがあれば、どれくらいのスキルがあるフリーランスエンジニアなのかを、クライアントに簡単にアピールすることが出来るでしょう。
ブログやSNSを使って定期的に情報発信をしていると、世界中のユーザーに拡散される可能性が高まります。すぐに効果が現れるものではないかもしれませんが、事前にページやアカウントを作成しておくのはおすすめです。
名刺
準備する物の3つ目は「名刺」です。
フリーランスエンジニアになって、様々なイベントや交流会などに参加するのであれば、名刺は持っておいた方が得です。
確かに、ウェブサイトを作っていたり、SNSのアカウントがあればオンライン上でどんな人なのかを知ってもらう事は出来ます。
しかし、実際にオフラインの場で出会う人には、名刺を渡した方がより効率的にあなたの持っているスキルを理解してもらいやすいでしょう。
名刺を作るのは、様々な印刷業者がオンラインから簡単に申し込めるサイトを作っています。
少ない枚数でも印刷してもらう事は可能なので、フリーランスとして独立する前に作っておきましょう。
会計ソフト
準備する物の4つ目は「会計ソフト」です。
フリーランスエンジニアになると、確定申告を自分で行う必要があります。
確定申告を行うには、月々の収支、経費計算などを行って、各種帳簿を作成する必要があります。
もちろん、手書きで帳簿を付けても問題ありませんが、最近では便利な会計ソフトが沢山リリースされているので、こちらを購入して使うようにしましょう。
オンライン上でクラウドに保存した帳簿に記帳できるサービスもあるので、インターネットからすぐに契約が出来ます。
フリーランスとして独立するのであれば、それなりの収入になってくるはずなので、青色申告が出来る専用会計ソフトを購入しましょう。
人脈作り
準備する物の5つ目は「人脈」です。
こちらは、事前に準備するのが難しい場合もあります。
しかし、フリーランスエンジニアとして初めて仕事を得る際に、今まで構築した人脈はかなり重要です。最も簡単に仕事を発注してくれるのが、今まで関わり合いがあった人です。
例えば、会社員エンジニアとして仕事をしていて独立をするのであれば、その会社の取引先の担当者に独立することを伝えておくと、仕事を発注してもらえる可能性もあります。
また、友人や知人にフリーランスエンジニアになることを事前に告げておくことで、友人知人のネットワークを介して、新たな顧客を獲得できるかもしれません。
フリーランスエンジニアになった際は、人脈形成を疎かにせず、常に仕事を探そうとする努力をし続ける必要があります。
クレジットカードの作成
準備する物の6つ目は「クレジットカード」です。
会社員として企業に雇用されている間はあまり気にすることはありませんが、フリーランスになるとクレジットカードの審査が通りにくくなります。
今までは、会社に雇用されている状態だったので、クレジットカード会社から一定の信用を得られていました。
しかし、フリーランスになるとそれまでの信用はゼロになるため、クレジットカード会社の審査が厳しくなります。
クレジットカードがあると、支払いに困った時に先延ばしすることが出来たり、分割で支払いを行えるので、かなり便利です。
会社員の肩書があるうちに、数枚のクレジットカードを作っておいてもいいかもしれません。
最低でも1枚は持っておくようにしましょう。
国民年金、健康保険の勉強
準備する物の7つ目は「国民年金と国民健康保険の勉強」です。
会社員として企業に雇用されている間は、会社が加入している健康保険や厚生年金に入っているので、特に知識が無くても問題ありません。
しかし、フリーランスエンジニアになると、個人で国民年金に加入したり、国民健康保険に加入したりしなければいけなくなります。
フリーランスエンジニアになる前に、毎月支払わなければいけない保険料はどれくらいになるのか?などを勉強しておくと、不安になる事もないためおすすめです。
ちなみに、扶養している家族がいる場合には、国民健康保険には「扶養者、被扶養者」の概念がありません。
今支払っている保険料よりも高くなる可能性があるので、注意しましょう。
毎月支払う、国民年金保険料に関しては、毎年微妙に金額が変動します。
令和4年度の国民年金保険料は一人当たり毎月「16,590円」です。
フリーランスになりたてで収入が全くない間は、免除申請を行って支払額を軽減することも出来るので、各自治体に相談してみましょう。
ローンが必要な場合は契約
準備する物の8つ目は「ローンが必要かどうかの確認」です。
フリーランスエンジニアになると、社会的な信用が限りなく低くなるので、ローンを組める可能性がグンと下がります。
特に銀行でお金を借りてローンを組もうとすると、かなり審査は厳しくなるでしょう。
そのため、会社員時代に必ずこれから先フリーランスになるにあたって、ローンを組む必要があるのかどうかを判断しておきましょう。
例えば、フリーランスエンジニアになって移動するための「営業用の車」のローンや、仕事で使うパソコンのローンなどはきちんと考えて契約を事前にしてしまう事をおすすめします。
ただし、これからフリーランスエンジニアになると、収入の目途も立ちにくいため、ローンを組む金額は最低限度に収めておいた方がいいです。
仕事をするのに、最低限必要な買い物だけにとどめておきましょう。
会社員がフリーランスになるまでの過程
ここからは、会社員を辞めて実際にフリーランスエンジニアになるまでには、どんな過程を経るのか?詳しい内容をご紹介していきます。
退職の相談、手続き
フリーランスエンジニアになることを決め、最初に行うべきことは、上司への退職の相談です。
雇用契約上は退職の1か月前に報告をして、退職の手続きを行えば問題ありません。
しかし、1か月前に急に申し出てもあなたの代わりの人材を見つけるのに会社も苦労するでしょう。
そこでおすすめなのが、退職予定日の3か月前程度に上司に相談する事です。
3か月も期間があれば、代わりの人材を確保することは可能です。
もし、今勤めている企業がIT関連企業なのであれば、フリーランスとして独立した後も、取引先として関わり合うかもしれません。
そうした時に、出来るだけ円満に退職しておいた方が、あなたにとってもメリットが大きいでしょう。
国民年金、国民健康保険への加入
退職予定日を過ぎ、無事に退職することが出来たら、今度は各自治体の役所に行って、国民年金と国民健康保険への加入手続きを行います。
国民年金への加入や、国民健康保険への加入は、退職した事業所から手続きの方法なども案内がある可能性があるので、受け取った資料をよく見て対処しましょう。
ちなみに、国民健康保険への加入は、退職日から14日以内に行わなければいけないため、早めに各市区町村の役所に行って手続きを行わなければいけません。
開業届の提出
次に行う事は「開業届の提出」です。
開業届は、今住んでいる住所の管轄税務署に行って、直接提出します。
各税務署に行けば、記入するべき書類を受け取れるので、必要事項に記載して提出しましょう。
一応、開業届は「事業開始日から1カ月以内に提出すること」が決められていますが、事業開始日が曖昧なのであれば、遅れてから提出しても問題ありません。
ただ、初年度から売上が上がる場合には、年度末に確定申告を行わなければいけません。
その際に、青色申告にするのであれば、開業届は必ず提出しておく必要があるので注意しましょう。
さらに、青色申告にしたいのであれば同様に「青色申告承認申請書」も税務署に提出する必要があります。このことについては、税務署の方に聞けばわかりやすく教えてくれるはずです。
確定申告の準備と勉強
フリーランスエンジニアになると、前述している通り、確定申告を自分で行わなければいけません。
確定申告には、白色申告と青色申告があります。
出来ることであれば、会社員時代に事前に確定申告について勉強し、自分にはどちらの申告方法が向いているのかを理解しておくといいでしょう。
ここでは、白色申告、青色申告、それぞれの申告方法のメリット・デメリットを分かりやすく解説していきます。
白色申告のメリット・デメリット
まずは、白色申告のメリット・デメリットです。
メリット
白色申告のメリットは以下の通りです。
- 事前に届け出をする必要が無い
- 帳簿の記帳が簡単
まず、白色申告で確定申告を行うと、事前に「申請書」を提出する必要がありません。
青色申告で確定申告を行うには「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておかなければいけません。
白色には、その必要が無いのがメリットです。
また、白色申告であれば、単式簿記の記帳でOKなので、提出する帳簿が非常にシンプルです。
もし、会計ソフトを使わずに手書きの帳簿で確定申告を行うのであれば、かなり楽に確定申告を終えられるでしょう。
デメリット
一方で、白色申告には以下のようなデメリットがあります。
- 基本的に「基礎控除の48万円分」しか、控除を受けられない
- 白色申告でも5年間は帳簿を保管しておかなければいけない
白色申告のデメリットというと、やはり「特別控除が受けられない事」でしょう。
青色申告を行うと「青色申告特別控除」というものが受けられます。
青色申告特別控除では、全体の所得から最大で65万円分の控除が行われ、その控除後の額に課税が行われるようになっています。
しかし、白色申告にこういった特別控除はありません。
所得の金額にそのまま課税がなされるので、収入額が多ければ必要以上の税金や保険料を納めることになります。
この65万円の控除の有無は、かなり大きな差なので、ある程度の収入がある人は、白色申告にするメリットがほとんど無いと言えるでしょう。
また、白色申告にすると、以前は帳簿の保管義務がありませんでした。
つまり、帳簿の記帳自体も簡単で、その帳簿をすぐに処分しても問題なかったのです。
しかし、平成26年1月から制度の変更があり、白色申告でも帳簿を5年間は保管しておかなければいけないことになりました。
そのため、白色申告で簡易的に申告したとしても、青色申告同様に、帳簿保管義務があるのです。
青色申告のメリット・デメリット
それでは、青色申告で確定申告を行うメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
青色申告で確定申告を行うメリットは以下の通りです。
- 最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
- 純損失を繰り越し控除できる
- 家事関連経費のうち、必要経費を経費に計上できる
大きなメリットとしては、こちらの3点になります。
まず、青色申告を行うと「青色申告特別控除」で、最大65万円の控除を受けることが可能です。その年の所得からさらに65万円を引いた金額にしか課税されないため、次年度に収める税金が白色申告と比べて、少なくなります。
ただし、最大65万円の控除を受ける場合には、国税庁の提供している納税システム「e-Tax」を使って申請する必要があります。
とはいえ、e-Taxは各会計ソフトと連動して簡単に処理が出来るため、ほぼすべての方が、65万円の特別控除を受けることが出来るでしょう。
また、青色申告にすると、その年の「赤字を次年度に繰り越せるメリット」があります。
この繰り越しは3年間適用されるため初年度が大きな赤字で、次年度黒字になった時にも、納める税金額は軽減される可能性が高いです。
さらに、青色申告を行うと「家事関連経費の内、事業に関わった経費分も計上できるメリット」があります。
白色申告であれば、家事関連経費の場合、主に事業を行う際に使った経費しか計上できません。
しかし、青色申告であれば家事関連経費のうち、割合の大小に関わらず、事業にかかった分は全て経費計上できます。
例えば、自宅兼事務所で作業をしていて、事務所で使った電気代などは全て経費に計上して問題ありません。ただし、ある一定の根拠に基づいた計算方法で算出しなければいけないので、注意しましょう。
デメリット
では、青色申告にするとどんなデメリットがあるでしょうか?
- 帳簿の記帳に手間がかかる
青色申告にするデメリットは、この1点だけです。
とにかく、帳簿を記帳するのに手間がかかります。
単式簿記ではなく、複式簿記で記帳しなければいけませんし、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳などの必要帳簿をすべてそろえて提出する必要があります。
しかし、現存する会計ソフトを使うと、全ての帳簿は自動的に作成してくれるため、専門的な知識が無くても、簡単に確定申告できます。なので、実質的に青色申告にするデメリットはないと言っていいでしょう。
ただ一つだけ挙げるとするならば、会計ソフトの費用が発生することくらいです。
フリーランスエンジニアとして仕事を獲得するための準備とは?
最後に、フリーランスエンジニアとして仕事を獲得するためには、どんな準備を事前にしておくのが良いのか?について、簡単にご紹介していきます。
会社員時代の取引先への営業
1つ目は「会社員時代の取引先に事前に営業しておくこと」です。
IT関連会社で会社員エンジニアをしていたのであれば、会社で取引していた企業の担当者が、あなたと契約を結んでくれる可能性もあります。
もちろん、全ての取引先と契約は出来ないでしょうが、あなたのことを信頼してくれている担当者であれば、いくらかの仕事を回してくれるでしょう。
必ず、独立する予定があることを伝えておきましょう。
知人、友人への営業
2つ目は「知人、友人への営業」です。
フリーランスエンジニアとして独立し、全く人脈も無い状態であれば、知人友人を頼って営業することは必須です。
直接的に関係のある知人友人がいなくても噂話が広がり、あなたのもとに仕事を依頼してくれる人が現れるかもしれません。
フリーランスになることをとにかく広めておきましょう。
クラウドソーシングサイトなどの活用
3つ目は「クラウドソーシングサイトを活用すること」です。
クラウドソーシングサイトは、フリーランスとして独立する前からも登録可能です。
登録も無料で出来るので、是非とも準備しておきたいことの1つになります。
クラウドソーシングサイトであれば、単発の仕事を発注してくれるクライアントも沢山いるため、すぐにでも仕事を請け負う事が出来るでしょう。
フリーランス向けのエージェントの活用
4つ目は「フリーランス向けのエージェントを活用すること」です。
エージェントの中には、完全に「フリーランス向け」として営業している会社があります。
そういった、フリーランス向けのエージェントを活用すれば、あなたのスキルにマッチした取引先をどんどん探し出してくれるので、スピーディーに案件受注をすることが可能です。
手数料は取られてしまいますが、仕事が全く決まっていないうちは、利用することをおすすめします。
スキル不足の場合はプログラミングスクール再受講を考える
また、実際にフリーランスエンジニアとして独立しても、「スキルに不安があり、仕事を受注できなかった」というのであれば、再度プログラミングスクールを受講するのもおすすめです。
プログラミングスクールでは、様々なコースが設定されていて、あなたが仕事を受注するのに必要なスキルを身に付けることも十分に可能です。
また、受講終了後にスクールからいくつかの取引先を紹介してもらえる可能性もあるので、有効に活用しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「フリーランスエンジニアが事前に準備しておいた方がいいこととは?」という内容で記事をまとめてきました。
フリーランスエンジニアになるためには、事前にいくつかの準備を進めておいた方がスムーズです。
記事内容を参考にして、あなたも早速独立の準備を進めてみましょう。